金型は不要。溶接ロボットもない。プレス機さえも使わない。それでも自動車を生産できる─。現在主流のクルマづくりとは一線を画す自動車工場が米国で誕生しようとしている。米Local Motors社などが2015年の製品化を目指して開発を進めている3Dプリンテッドカー工場だ。

 工場の中心的装置は大型の3Dプリンターである。これで、小型電気自動車(EV)の炭素繊維強化樹脂(CFRP)製ボディーやフェンダーなどを成形する(図1、2)。プレス成形した鋼板を溶接して造る現行の自動車ボディー(ホワイトボディー)と比べて加工時間は長い。だが、金型を使わないため、デザインの自由度が高くなる。従って、顧客の好みに応じて異なるデザインのボディーを造り分けられる柔軟性を備えた工場になる可能性がある。

図1 米Local Motors社などが開発を進めている3Dプリンテッドカーの成形
大型の3Dプリンターを使い、炭素繊維強化樹脂(CFRP)を積層して小型EVのボディーなどを成形する。
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図2 3Dプリンターで成形した小型EVのボディー
一体成形したボディーに、別に成形したフェンダーを締結する。フェンダーの成形にも3Dプリンターを使う。
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