ドイツの製造業が熱い。多くの先進国の産業構造がサービス業にシフトする中、むしろドイツは技術革新を進め、製造業の比重を高めた。輸出は大幅に増え、国内雇用が増加して失業率は低下。「Industry 4.0」(ドイツ語ではIndustrie 4.0)に象徴される産業機器の高度化など次世代に向けたものづくりの進化も加速する。産業構造がドイツに近い日本は何を学べるのか。現地取材で最先端の動きに迫った。

生産革新が進むドイツVolkswagen社の工場には世界各国の政府関係者が視察に訪れる。(Gustaf Brundin/ゲッティ イメージズ)

 ドイツの製造業に学ぼう─。そんな動きが世界で広がっている。

 2014年10月末、米政府のSecretary of Labor(労働長官)、Thomas Perez氏はドイツVolkswagen社(以下VW社)のWolfsburg(ウォルフスブルグ)にある本社工場を訪問した。高い生産性で注目を集める同工場の生産ラインをつぶさに見て回り、生産性の改善に取り組む従業員のトレーニング手法に関して、幹部に詳細な説明を求めた。

 日本の経済再生担当大臣である甘利明氏も2014年7月にドイツを訪問し、同国の製造業を支える応用研究機関のFraunhofer研究機構を視察。大学などの研究を企業の製品化につないで、イノベーションを起こす手法に強い関心を示し、帰国後すぐに関係省庁などのスタッフを2~3週間派遣するよう指示した。

 なぜドイツの製造業がこれほどまで脚光を浴びるのか。それは、多くの先進国で産業構造のサービス業へのシフトが進む中、ドイツは製造業に注力して、その存在感を高めているからだ。