2007年に創業したばかりのベンチャー企業が、自動車産業に大変革を起こそうと奮闘している。3Dプリンターで車体を成形する電気自動車(EV)の実用化を目指す米Local Motors社だ。挑戦の先にあるのは、過去100年以上の時間をかけて構築してきた大量生産モデルとの決別である。

 「Genchi Genbutsu(現地現物)やKaizen(カイゼン)などの考えを取り入れたトヨタ生産方式は、『規模の経済性』を追い求める大量生産では極めて有効である。だが、それではクルマに対する千差万別の好みを満たせない。消費者は多品種少量生産を求めている。まさに今こそ、自動車業界でビジネスモデルが変革するときだ」。

 Local Motors社CEO&Co-founderのJohn B. Rogers, Jr.氏の鼻息は荒い。同社は、早ければ2015年4月にも2人乗りの電気自動車(EV)「Strati」の受注を開始する(図1)。自動車の車体全体を3Dプリンターで一体成形し、実際に走行可能な状態に仕上げたのは「Stratiが世界で初めて」(同社)である。

図1 3Dプリンターで造り出したクルマ
米ベンチャーのLocal Motors社は、車体を3Dプリンターで成形する電気自動車(EV)「Strati」の開発を進めている。3Dプリンターで成形した部位は後工程でなめらかに仕上げる。
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