挑戦者
目次
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FCVで目指す水素社会、AIはクルマの守護神に
伊勢清貴(トヨタ自動車 専務役員)
トヨタ自動車が開発に注力する燃料電池車(FCV)は、水素を燃料として使う環境車である。FCVを普及させ、水素エネルギー社会の実現を目指す。2016年4月に新設された先進技術開発カンパニーPresidentの伊勢氏に、トヨタ自動車が目指す環境車の戦略と、人工知能(AI)の展開などについて聞いた。
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独創的な発見・発明は、端や境界から生まれる
細野秀雄(東京工業大学 元素戦略研究センター長)
各種ディスプレーへの搭載が進むIGZO-TFTや、電気を通すセメント、鉄系超電導体など、常識を覆す新材料を開発し続ける細野秀雄氏。その独創性が評価されて2016年の「日本国際賞」*1を受賞した。「新しい発見や発明は『端っこ』や『境界』にある。(それを捉えるには)相談する相手もいない、周囲からも評価さ…
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伸びる中国ロボット市場、知能化で勝つ
小笠原 浩(安川電機 代表取締役社長)
美的集団股分公司とのロボット関連の合弁会社設立、上海でのロボットセンターの開設など、安川電機が中国での産業用ロボット事業を加速させている。これから同国で工場の自動化需要の拡大が期待できるからだ。さらに、その視線の先には、知能化を武器にした勝ち残りがある。2016年3月に同社トップに就任した小笠原氏に…
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安全なくして ロボット革命なし
藤田俊弘(IDECグループ C.T.O.)
国内外で加速するものづくりのスマート化。その実現のカギを握っているのは「安全技術」だ。創業から70年以上にわたって安全機器を作り続けてきたIDECで技術開発を統括する藤田俊弘氏はこう指摘する。人とロボットがすぐ近くで協業する時代になれば、ものづくりのスマート化で日本に逆転の目が出てくるという。
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現場力を「稼ぐ力」に、日本に猶予はない
糟谷敏秀(経済産業省 製造産業局長)
「インダストリー4.0」のドイツや「インダストリアル・インターネット」を進める米国がリードしているとされる、ものづくりのスマート化。新興国ではドイツと接近する中国の他、トルコ、インドなどが積極的だ。こうした中、日本の製造業はどうしていくべきか。国内製造業を管轄する経済産業省 製造産業局長の糟谷敏秀氏…
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製造業とAIの融合に日本の勝機あり
辻井潤一(産総研 人工知能研究センター長)
人工知能(AI)を製造業に生かそうとする機運が急速に強まってきた。そんな中、AIの研究・活用に関する知の集積地として創設されたのが産業技術総合研究所(産総研)の人工知能研究センターだ。そのトップを務める米Microsoft社出身の辻井潤一氏は、「米国が先導していた時代は終わろうとしている。これからは…
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日本の新しいロケット、コストも期間も半減
岡田匡史(JAXA 第一宇宙技術部門 H3プロジェクトチーム)
2020年度に試験機1号機の打ち上げを目指し、開発が進められている日本の新しい主力ロケット「H3」。現行の「H-IIA」「H-IIB」に対し、基本コンセプトから大きく見直している。コスト半減と準備期間の短縮をめざし、機体のモジュール化も導入する。宇宙航空研究開発機構(JAXA)でH3プロジェクトを率…
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イノベーションこそがタイの未来を創り出す
Pichet Durongkaveroj(タイ 科学技術省 大臣)
自動車生産においてASEAN(東南アジア諸国連合)の盟主といえるタイ。しかし、人件費の高騰や若年労働層の不足などの問題が迫りつつある。危機感を持った同国は、これまでの生産一辺倒の構造を見直し、研究開発力やイノベーション力の強化に動き出した。変革を取り仕切る、タイ 科学技術省大臣(Minister o…
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インダストリー4.0とはいたずらに競争しない
Stephen Mellor(米IIC CTO)
米General Electric(GE)社が提唱した「Industrial Internet」。この概念を世界に広げる取り組みを強力に推し進めているのがGE社などの米国企業を中心に設立されたIndustrial Internet Consortium(IIC)である。IICが思い描いている産業の将…
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何を共通化するか、正解はまだ見えない
松下裕(NEC 執行役員)
IoT(Internet of Things) に基づく「スマートものづくり」の先陣争いが世界中で繰り広げられる中、NECが2015年6月に発表したのが、IoTを製造業で活用するためのサービスやソフトウエア、機器などを体系化した「NEC Industrial IoT」である。この事業責任者を務めるN…
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日本の製造業には“驚き”が必要だ
佐々木直哉(内閣府 SIP革新的設計生産技術PD)
分野横断的な技術開発によって日本の産業競争力を高めるべく、内閣府が推進する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」。10個あるテーマの中で異彩を放つのが「革新的設計生産技術」だ。特定の業界や用途のための技術開発ではなく、汎用的な新しいものづくり手法の確立を目標に掲げる。その狙いをプログラムデ…
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早く失敗したものが速く進化する
相川哲郎(三菱自動車 代表取締役 社長 兼 COO)
ガソリン車やハイブリッド車が大半を占める自動車市場で電気自動車やプラグインハイブリッド車に力を注ぐ三菱自動車。ライバルより先に難しい技術に挑戦し、突破口を開こうとする。大規模リコールなどで経営危機に瀕したが、業績は回復基調にある。「作り手目線」から「お客様目線」へと風土変革を急ぐ社長に戦略とものづく…
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津賀さんにこう口説かれました
PDP事業の終息、システムLSI事業の富士通との統合、日本向けBtoCスマートフォンの開発休止など、構造改革を断行してきたパナソニック。今後は成長路線へと舵を切る同社にとって生命線といえるのが「次のメシの種」を探す先端研究開発力の向上だ。この責任者を務めるのが産業技術総合研究所出身の辰巳国昭氏だ。研…
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ぶっ飛んだクルマでホンダを元気にする
椋本 陵(本田技術研究所 四輪R&Dセンター LPL)
2015年4月にホンダが発売した小型オープンスポーツカー「S660」。その開発責任者を務めたのが、弱冠26歳の椋本陵氏だ。20代の若者が開発責任者を任された例は、ホンダの長い歴史の中でも初めて。他の国内大手自動車メーカーでもほとんど例がないだろう。異例の抜擢を受けた椋本氏に、新製品に込めた思いを聞い…
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門外漢だからこそ変えられた
大谷渡(YKK 取締役副社長 兼 工機技術本部長)
YKKはファスニング事業とAP(Architectural Products)事業の2本柱を掲げる。この2つの事業をものづくりの面から支えるのが、各事業部で使う生産設備や金型などを供給する工機技術本部だ。その工機技術本部を2010年から率いる大谷氏は、技術畑出身ではない。だからこそ、長年の慣習にとら…
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IoT時代も、ハードと現場が大事
柵山正樹(三菱電機 執行役社長)
IoT(もののインターネット)で、ソフトウエアに軸足を置く欧米勢に対し、製造現場やハードウエアに根ざしたものづくりの進化に力を注ぐ。得意とするFA機器や産業機器に組み込まれるパワー半導体を、社内の多様な事業の工場で使うことで検証を重ねて、顧客に提供する。成長のカギとなるグローバル展開を加速するために…
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脱メーカーをあえて推進する
伊藤嘉明(ハイアール アジア代表取締役社長兼CEO)
「業界に革命を起こす」。日本の家電業界に風雲児が現れた。製造業の本流といえる家電メーカーでありながら、脱メーカーを強力に推進しようと目論む。自らを「新参者」と称し、日本の家電業界の慣習やしがらみに風穴を開けようとする伊藤嘉明氏にその思いのたけを聞いた。
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ゼロから創った「HondaJet」
藤野道格〔米Honda Aircraft社 社長兼CEO(ホンダ エアクラフト カンパニー)〕
米国連邦航空局(FAA)による認定プロセスが終盤を迎え、デリバリー(顧客への引き渡し)までのカウントダウンが始まった「HondaJet」。エンジンの主翼上面配置をはじめとした数々の独自技術を駆使し、室内空間の広さや最高速度、燃費などのスペックで競合機を凌駕する。この革新的な小型ビジネスジェット機の開…