米ベンチャーのLocal Motors社が、3Dプリンターで車体を成形する電気自動車(EV)を実用化する(図1)。早ければ2015年4月にも受注を開始する。彼らが目指すのはEVの販売だけにとどまらない。見据えるのは、過去100年以上の時間をかけて構築してきた大量生産モデルとの決別だ。挑戦が成功すれば、自動車産業に大変革が起きる可能性がある。

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図1 3Dプリンターで造り出したクルマ
米ベンチャーのLocal Motors社は、車体を3Dプリンターで作製する電気自動車(EV)「Strati」の開発を進めている。3Dプリンターで成形した部位は後工程でなめらかに仕上げる。
図2 取材に応じたLocal Motors社CEO
デトロイトモーターショーの会場で本誌の取材に応じた同社CEO & Co-founderのJohn B. Rogers, Jr.氏。

 Local Motors社CEO & Co-founderのJohn B. Rogers, Jr.氏の鼻息は荒い。同社は2015年1月中旬、米国最大の自動車展示会「The North American International Auto Show(NAIAS、デトロイトモーターショー)」に出展、日経Automotiveの取材に対してこう言い切った(図2)。

 「Genchi Genbutsu(現地現物)やKaizen(カイゼン)などの考えを取り入れたトヨタ生産方式は、『規模の経済性』を追い求める大量生産では極めて有効である。だが、それではクルマに対する千差万別の好みを満たすことはできない。消費者は多品種少量生産を求めている。まさに今こそ、自動車業界でビジネスモデルが変革するときだ」。

 Local Motors社は、車体の製造に3Dプリンターを用いることで、ユーザーごとに異なる好みや要望に合わせて柔軟にカスタマイズできるようにする。さらに、製造スピードを大幅に向上させたり、大規模な工場を不要にしたりすることも可能という。