POINT-1 男女の基本的な違いを理解しよう

 女性の少ない技術系の職場に勤める技術者がまず理解したいのは、「男女ではコミュニケーションの志向性が異なる」ということです。男性にとっての会話は主に用件を相手に伝えるためのものですが、女性は相手とつながるためにします。男性の会話には事実や事務連絡的な情報が多いのに対し、女性はエモーション(感情)の情報が多く含まれているのはそのためです。「こんなケーキを食べておいしかった」「仕事でこんな失敗をして悲しかった」などと女性が話すのは、相手に自分の感情を理解して(できれば共感して)ほしいからなのです。この理由として脳科学では、男性はコミュニケーションに理性を司る左脳を使い、女性は感性を司る右脳を使うからだとされています。

 私の専門の社会心理学では、前者を「男性型コミュニケーション」、後者を「女性型コミュニケーション」と呼び、それらの特徴は社会的条件付けによって形成されると考えます。

 社会的条件付けというのは、社会が人に対して伝統的な性の役割(伝統的性役割)を植え付けることを言います。例えば、ここにピンクの帽子とブルーの帽子があったとします。そこに女の子が現れたら、あなたはどちらを手渡しますか? きっとピンクの方だと思います。このように私たちは、知らず知らずのうちに子どもたちに伝統的性役割を植え付けています。女の子なら優しくしとやかに、男の子なら元気に勇ましく、といった具合です。

 つまり、男女でコミュニケーションの取り方が違って当然だということ。異性とうまくコミュニケーションを取れないからと自分や相手を責める必要はありません。男女の違いを理解すればいいだけなのです。