三菱重工業と三菱航空機は2014年10月18日、小型ジェット旅客機「MRJ(Mitsubishi Regional Jet)」の飛行試験用初号機を完成させ、三菱重工の小牧南工場(愛知県・豊山町)で完成披露(ロールアウト)式典を開催した(図1)。MRJの完成機体が公開されるのは今回が初めてだ。

* 三菱航空機 2008年4月に設立されたMRJのための事業会社。同社の設立以前は三菱重工業がMRJプロジェクトの運営主体だった。三菱航空機は、MRJの設計、型式証明(TC)の取得、部材の調達、販売、カスタマーサポートを担当する。試作機の製作と飛行試験,量産機の製造は三菱重工の名古屋航空宇宙システム製作所が担う。MRJ事業の事業責任は三菱航空機が負う。三菱航空機への出資企業(出資比率)は、三菱重工(64.0%)、三菱商事(10.0%)、トヨタ自動車(10.0%)、住友商事(5.0%)、三井物産(5.0%)、東京海上日動火災保険(1.5%)、日揮(1.5%)、三菱電機(1.0%)、三菱レイヨン(1.0%)、日本政策投資銀行(1.0%)。

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図1●初めて公開された小型ジェット旅客機「MRJ」
MRJは、標準座席数が78の「MRJ70」と同92の「MRJ90」の2機種から成る。完成した機体はMRJ90。2015年4~6月に初号機の初飛行を行い、2017年4~6月から顧客への納入を始める計画だ。

 式典のあいさつで三菱重工取締役会長の大宮英明氏は「(MRJは)高い技術力で品質と安全性を追求するという、日本のものづくりの英知の結晶。世界に誇れるMade in Japanが、ようやく夢から現実になろうとしている」と胸を張った。