三菱航空機(本社名古屋市)と三菱重工業は2014年8月3日、国産の小型ジェット旅客機「MRJ(Mitsubishi Regional Jet)」の構造試験を行うMRJ技術試験場(愛知県・豊山町)の中にある全機静強度試験施設を公開した(図1)。同試験は、MRJの飛行(旋回運動や突風を受けた場合)時や着陸時、滑走時などに想定される荷重を実際の機体に加え、変形などを測定して機体の強度を保証するためのもの。実用化には必須の試験である。

図1●全機静強度試験施設の外観
機体に油圧アクチュエーターで負荷をかけて全機静強度試験を行う。この施設に隣接して全機疲労強度試験施設があるという(今回は公開されなかった)。
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 MRJは「YS-11」以来、実に約半世紀ぶりとなる国産旅客機。座席数70~90席クラスの小型機で、新型エンジンの採用や機体の軽量化などにより、燃費が競合機に比べて20数%優れることが特徴である1)。当初は2013年に初号機納入の計画だったが、開発の遅れで3度の計画見直しを余儀なくされ、現在では2015年4~6月に初飛行し、2017年4~6月に顧客へ納入を開始する予定となっている

* 現在の累積受注機数は325機(確定165機、オプション160機)。

 三菱航空機は、今回公開した全機静強度試験施設に関して、「試験を始めるための最終準備を進めている(2014年8月18日時点)」と説明する。早期に試験を軌道に乗せることができれば、MRJの実用化に向けて大きく前進できる。