デンソーの本業として売り上げのほとんどを占める自動車事業。開発現場が特に意識しているのは自動車メーカーの先を行く開発だった。「安心・安全」と「環境」の2分野の開発を加速させる。

 「自動車メーカーから『こんなことできる?』と要望を受けてから開発していては遅い。彼らが求めている技術を、先回りして開発していく」─。デンソーの技術者たちは、異口同音にこう話す。

 今、自動車メーカーが力を注いでいるのが、「安心・安全」と「環境」の2分野だ。交通事故死亡者は日本では13年連続で減少しているが、世界全体では「2030年まで増え続け、240万件/年に達する」(WHO(世界保健機関))。また、今後、自動車市場の中心が新興国に移ることを考えると、高機能な電動車両だけでなく低コストな環境技術の開発も欠かせない。