異種材料接合の技術を生かすことで、大手自動車メーカーからの受注を一身に受け、1カ月当たり2万5000台の生産を勝ち取った自動車部品がある。京浜精密工業(本社横浜市)が開発した、エンジンの可変バルブタイミング機構のアクチュエーター・ハウジング(以下、アクチュエーター・ハウジング)だ(図1)。

図1●18%の軽量化を実現したアクチュエーター・ハウジング
強度を要する鋼製部品を局所的に使い、残りをアルミ化することで軽さを追求した。鋼部品であるスプラインリングとアルミダイカスト品のハウジングを直接接合するために、塑性流動結合を採用した。
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 大手自動車メーカーが評価したのは、従来に比べて18%の軽量化を実現したこと。質量を833gから683gに減らしたのだ。この自動車メーカーは当初、軽量化のアイデアを求めて京浜精密工業に声を掛けた。これに対して、同社は、軽量化のみならず、34%のコスト削減をも達成してみせた。冒頭の自動車メーカーが新しいアクチュエーター・ハウジングの全量を京浜精密工業からの納入に決定したのも納得がいく。