【技術】山手線の次世代電車、ネットワークで状態を監視

 JR東日本の、山手線用の新型通勤電車「E235系」の量産先行車の概要が明らかになった。安全性向上策の1つとして、車内外のネットワーク機能を強化して機器類の状態を常に監視できるようにする。故障の予兆を把握して事前に対処したり、故障発生時に迅速な復旧を進めたりする手段として用いる。機器からのデータはサーバーに集約し、指令所や車両基地に知らせる他、事故や故障の現場に臨む社員にも携帯端末などを経由して提供する。

 線路や電力設備の状態を車両側から監視する装置も試験的に搭載する。その他、安全性向上策として主要機器を2重化。戸閉装置を改良し、荷物が挟まれた場合に引き抜きやすいようするという。

 省エネルギー化も大きな特徴だ。駆動に炭化ケイ素(SiC)製半導体を用いることで消費電力の低減を図ると同時に、回生エネルギーを増加させる。この他、照明にはLEDを採用した。加えて、環境負荷の低減のためにオイルフリーの電動空気圧縮機を使用し、潤滑や冷却に油を使わないようにする。

 動力車は1両ずつ独立させる方式を採用(現行のE231系500番台は、2両が制御装置1台を共有するユニット方式)。車体はE231系500番台と同様のステンレス鋼製で、前面の表示器を現行のものより大きくする。最高速度はE231系500番台と同じ120km/h。2015年3月以降に完成させて走行試験を実施し、同年秋ごろから営業運転を始める。(木崎)