3Dプリンターは、実現できる形状の柔軟性が高く、個別生産に向くことなどから、ものづくりを革新する大きな可能性を秘めている。しかし、低価格機の登場により一般家庭の個人でも所有が可能になり、インターネット経由でダウンロードできる3Dデータもどんどん増えてきたことで顕在化した課題もある。

 その1つが、3Dプリンターで造形した実物の適法性だ。日本でも3Dプリンター製の銃を製造・所持した疑いで逮捕者が出るなど、危険物を造りやすくなったことを危惧する声は大きくなっている。さらに、著作権を侵害したコピー商品などの流通が拡大すること、3Dプリンターで造形したモノで事故が起きた場合の製造物責任の所在といったことに対する懸念も広がっている。

 このような状況の中、大日本印刷(以下DNP)は2014年5月、3Dプリンターによって銃器などの危険物や著作権侵害の恐れがある模倣品を造形しようとした際に、その操作を受け付けないセキュリティー・プログラムを開発したと発表した1)。同社は、3Dプリンター関連の企業や団体、情報セキュリティーサービスを提供する企業などと連携し、2017年までに実用化を目指す。