大きさは直径11×長さ24mmとカプセル剤よりもやや大きく、外観は金属光沢を放つ写真のカプセル─。これは、九州工業大学教授の伊藤高廣氏が開発した「消化管内走行カプセル」だ。カメラとLED照明を組み込むことで、自走式カプセル型内視鏡の実現を目指す*。
* 現行の内視鏡はプローブを胃や腸まで運ぶために鼻や喉からチューブを挿入する。これに違和感を覚えたり、苦痛に感じたりする人が少なくない。一方、水とともに流し込むカプセル型内視鏡もあるが、飲み込んでから体外に出るまでに6~8時間もかかる。自走式であれば、この検査時間を大幅に短縮できる可能性がある。さらに自走式では、カプセル型内視鏡で検査する位置を制御することも可能になる。
興味深いのは、移動の仕組みだ。これまでの自走式カプセル型内視鏡は、表面の凹凸を動かしたり、ひれをばたつかせたりして進んでいた。これに対し、新しい走行カプセルの外面は全て滑らかで、人体への負荷が小さい。さて、どうやって前へ進むのだろうか。
- 1.伸縮
カプセルに柔軟性があり、伸び縮みしてはうように進む。 - 2.振動
内部に振動機構があり、カプセルに衝撃を与えることで進む。 - 3.回転
内部に回転機構があり、慣性力でカプセル全体を回すことで進む。