トヨタ自動車とデンソーが新たに開発したカーエアコンは、2013年12月発売の新型「ハリアー」、2014年1月発売の互いに兄弟車である新型「ノア」と新型「ヴォクシー」に搭載されている(扉の写真)。これ自体は珍しくはない。しかし、特筆すべきことがある。それは、3車が同一のカーエアコンの中核ユニットHVAC(エッチバック)(冷暖房空調装置、詳しくは本文)を使っている点だ。
ハリアーが大型SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)であるのに対し、ノアとヴォクシーはミニバン。大型SUVとミニバンではデザインはもちろん、車体構造も大きさも異なる。こうした場合、HVACは車体に合わせて設計し、形や大きさが異なるのがこれまでの常識だった。ところが今回のHVACは、トヨタ自動車とデンソーが議論と検討を重ね、デンソーの小型化技術、トヨタ自動車の要求仕様および搭載面での工夫により、1種類で大型SUVにもミニバンにも対応できるようにした。それどころか、コンパクトカーにも使えるというのだ。
いかにしてコンパクトカーからSUV、そしてミニバンまで1種類でカバーするHVACが可能になったのか。デンソーの開発者に寄稿してもらった(本誌)
デンソー 熱機器開発1部 開発2室長
栗山 直久
同社 同部開発3室 要素開発1課 担当係長
今東 昇一
同社 同部開発4室 要素開発1課
鈴木 善博
同社 同部開発4室 要素開発2課 担当係長
鈴木 義昭
同社 熱機器製造2部 第2生産技術室長
稲垣 亨