2号連続で掲載する創刊10周年記念特集。後編の本号では、製造業にとって生命線である「ものづくり戦略」に焦点を当てる。日本の製造業はこれまで「効率性の追求」に邁進してきた。ところが、今、その延長線上を進むだけでは乗り越えられない壁に直面している。これからの10年、より熾烈を極めるグローバル競争を勝ち抜くために何をすべきか。打ち破らなければならない壁にはどのようなものがあるのか。その解を見いだし始めた有力メーカーによる次の一手とともにお届けする。
製造業 次の一手
目次
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もはや効率性だけでは限界、革新性に挑みダントツの競争力へ
「Produced by Japan 世界で勝つためのものづくり戦略」─。2004年4月、こう銘打った特集を掲げて本誌「日経ものづくり」は創刊した。2001年に起きたITバブル崩壊で大打撃を受けた日本の製造業が、かつてない大リストラを遂げて「V字回復」を狙っていた時だ。韓国や台湾に次いで、「世界の工…日経ものづくり
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全部門一体化で最適車を企画・開発、世界の各市場ニーズに即応
ホンダ 山根庸史氏
「需要のある所で造る」。これがホンダの基本方針ですから、その方向性が変わることはありません。しかし、今後は世界の各市場でクルマを生産する動きを一層加速させます。日経ものづくり
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新興国向けにものづくりを一新、設計前に生産を考える新手法
パナソニック 吉岡民夫氏
3度目の挑戦となりますが、パナソニックは連結売上高10兆円を目指します。2018年度(2019年3月期)時点での目標です。2013年度(2014年3月期)の連結売上高の7.4兆円(見通し)から2.6兆円伸ばさなければなりません。日経ものづくり
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化学の底力でイノベーション、先端材料で新しい時代を開く
東レ 阿部晃一氏
東レは2014年2月17日に、環境分野と医療・バイオ分野を成長エンジンと位置付けた経営計画を発表しました。その基本的な考え方は「4つのコア技術」によって、「成長著しい分野」での事業拡大を牽引するというものです。これが東レの成長戦略の柱となります。日経ものづくり
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工場から医療・サービス市場へ、人間と共存するロボットで切り開く
安川電機 沢 俊裕氏
2000年代初期のITバブル崩壊の影響を受け、半導体産業向けのサーボ事業の売上高が大きく落ち込みました。そこで特に力を入れたのが、自動車産業向けロボットです。ところが、2008年にリーマン・ショックが発生。これにより、当社の3つの事業であるインバータ事業、サーボ事業、ロボット事業が影響を受けてしまい…日経ものづくり
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走りと安全で常にトップを目指す、究極の安全車を先んじて実現
富士重工業 大拔哲雄氏
ここ数年、米国市場での販売台数が大きく伸びています(表)。特に2013年は、前年比26%増の42万5000台を販売した。日経ものづくり
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「日の丸ジェット」を苦しめる「暗い森」とは
三菱航空機 川井昭陽氏
2015年春の初飛行を目指して最終組立が進む国産ジェット旅客機「MRJ」。三菱航空機は3度のスケジュール遅れを跳ね返し、旅客機特有のものづくりを血肉にできるのか。「暗い森は抜けつつある」とする社長の川井昭陽氏に、挑戦に立ちはだかる「暗い森」の正体を聞いた。日経ものづくり
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硬直化したモジュラー設計を疑え、共通化で技術者の挑戦心を奪うな
蛇川忠暉氏
今、ドイツVolkswagen社や日産自動車、トヨタ自動車など、世界中の自動車メーカーが、モジュラー設計に大きく舵を切ろうとしている。異なる車種間で部品を共通化、すなわちモジュール化し、まるで「LEGO」ブロック*1のようにクルマを設計・生産する手法だ。日経ものづくり
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品質に気の緩みはないか、「顧客第一」の原点に立ち返れ
佐々木久臣氏
私は日本だけでなく、中国やアジアの多くの生産拠点を訪ねている。その中で最近感じるのは日本企業(海外子会社・合弁会社も含む)の工場において、品質に対する気の緩みが出てきている、ということだ。日経ものづくり
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マニュアル化で失った考える力、「外れ値」に転がる「宝」をつかめ
伊藤 洋氏
日本の製造業のこの10年を総括すると、「マニュアル化」の時代だったと言える。品質管理から設計、生産、環境負荷軽減策まで、あらゆる分野でマニュアルを作成して日本メーカーは業務を進めてきた。これにより、一定水準以上の品質の製品を、安定的に効率良く造ることができるようになった。日経ものづくり
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理想は世界のニーズに応えること、革新性の追求に割ける時間が課題
調査テーマ「技術者が考える理想的なものづくり」
今後10年を勝ち残るために、日本の製造業は、ものづくりに関して「革新性」を追求する時代に突入した。だが、革新性の時代になっても、ものづくりの主役は技術者であることは変わらない。各企業が打ち出したものづくり戦略(pp.32-51の第2部参照)も、技術者のやる気や活力を引き出さなければ、画餅に終わってし…日経ものづくり