写真:栗原克己

 ホンダの元経営幹部から日経ものづくり編集部宛に手紙が届いた。本誌2013年12月号に掲載された特集2「成熟産業でもヒット商品は作れる」を読んでのことだ1)。この記事はデザイナーの田子學さんたちが執筆した。田子さんは、老舗の陶磁器メーカーである鳴海製陶(本社名古屋市)の新製品プロジェクトに参加し、「デザイン・マネジメント」を駆使して開発した「OSORO」(オソロ)を大ヒットさせた(図1)。

図1●多数のデザイン賞を獲得した「OSORO」
ぴったり重なるので収納性に優れる。加えて、付属のリングやふたを組み合わせれば、加熱調理器具や保存容器としても使える。意匠性に加えて機能性も評価され、国内外の権威あるデザイン賞を多数獲得した。主な受賞は、「German Design Award 2014」 SPECIAL MENTION、「reddot design award 2013」 best of the best(ドイツ)、「iF product design award 2013」 gold award(ドイツ)、「Design for Asia Award 2013」 Grand Award(香港)、「A'DESIGN AWARD WINNER 2014」 Platinum(イタリア)、「JIDAデザインミュージアムセレクション Vol.14」「2012年度グッドデザイン賞」グッドデザイン・ベスト100、「インテリアライフスタイルアワード 2012」DESIGN BUSINESS部門。
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 手紙には、「OSOROとホンダでの『創出経験』に共通する所があるように思う。小林君あたりが対談してみると創出に関する普遍的な概念が見つけ出せるかもしれません」と記されていた。もう全く嫌になるくらい鋭い。田子さんに会って話をしてみると、「OSORO」とホンダのアプローチの本質は確かに同じだった。