日本が国際標準を目指す新しい車載通信方式が「CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)」である。多重通信方式を採用し、HMI(Human Machine Interface)関連のワイヤーハーネスを削減することを狙う。

 CXPIを開発したのはデンソーで、スピードメーターなどのHMI関連のスイッチやセンサーといった入力系と、モーターや発光ダイオードなどの出力系の通信に使うことを想定する。

 現状では入力系と出力系の電子部品を1対1でつないでいるところ、CXPIを使うと1本の電線に複数の信号を流す多重通信ができる。車両全体のワイヤーハーネスに占めるHMI関連の電線の比率は、中型のハイブリッド車で33%に上る(図1)。CXPIが国際標準として自動車に採用されれば、ワイヤーハーネスの本数を大きく減らせる可能性がある。

図1 ワイヤーハーネスの内訳
HMI領域が3割以上を占める。中型ハイブリッド車のワイヤーハーネスの本数全体に占める比率を示した。
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 日本で標準化活動を担当するのは、自動車技術会の多重通信ダイアグ分科会内に設けた「新HMI系多重通信小委員会」である。現時点で同方式を開発したデンソーに加えて、完成車メーカー5社、部品メーカー5社、半導体メーカー3社が参加する。

 同分科会は2014年4月にCXPIをJASO(Japanese Automotive Standards Organization:自動車技術会の工業規格)で規格化することを予定する。その後、ISO(国際標準化機構)で標準規格にするのが目標だ。実用化に際しては同方式を「ライセンスフリー」として各社が無償で使えるようにする方針である。ただし、IC(集積回路)などへの実装手法は標準化せず、「競争領域」にする考えだ。