脳を極限まで絞るとどうなるか。ちょっとしたことでドッと笑ったり、逆にジッとうつむいたり、うろうろ歩き回ったり─。人によっていろいろですが、共通することは他人の目が気にならなくなることです。

 2月に3日間にわたって開催した「ワイガヤ・イノベーション塾」では、2日目の真夜中を過ぎた頃から、あちこちでそんなシーンが見られました。ワイガヤは、新車のコンセプトを創ったり、技術開発の方向性を決めたりするためにホンダが編み出した独自のアプローチ。3日3晩の合宿で議論します。今回のセミナーでは、2日目から3日目にかけて泊まり掛けで議論しました。

 テーマは「巣鴨」や「秋葉原」など人が集まる街に出掛け、観察やインタビューなどで街の価値の本質を見抜いてコンセプトを創ること。1チーム5~6人で、4チームが参加しました。20時頃に帰ってきて、ワイガヤ本番となります。街のコンセプトを創ることは、直接仕事には関係ないように見えますが、その思考法を身に付けることは新しい商品やサービスを考える際に大いに役立ちます。

 3日目の夕方、“脳力”を出し切って長時間の議論をくぐり抜け、まとめあげたコンセプトについて発表する参加者たちの姿は、一回り大きくなったように見えました。