【技術】東京電力、福島第一原発に三菱重工製の双腕ロボットを投入

 東京電力は、同社の福島第一原子力発電所において、遠隔操作ロボットによる作業を実施した。三菱重工業製の「MHI-MEISTeR」を使い、除染の実証試験とコンクリートのサンプル採取を行った。作業は2014年1月末に始め、同年2月20日までに完了した。

 これまで災害対応ロボットの利用は、搭載したカメラを使った点検や監視などが多かった。これに対し今回投入したロボットは、2つの7関節型アームを装備した双腕型で、先端部にさまざまな工具を装着できる。このため、片方で配管などを把持しながら、もう一方で切断する作業や、左右に異なる工具を装着して2種類の作業を同時に行うこともできる。移動方式としては、走破性の高い独立4クローラ方式を採用し、傾斜40°までの登坂や段差220mmまでの階段の昇降ができる。

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 原発建屋内のコンクリート壁・床などのサンプルを切り出すサンプル採取作業では、アームの先端に装着した独自開発の回転工具を使って、コンクリート壁などから厚さ70mm程度の円柱状サンプルを採取する。このサンプルを分析すれば、コンクリートが厚み方向にどの程度汚染されているかが分かる。この他、専用ノズルを使って吸引除染する作業や、研削材を噴射して汚染表面を薄く削り取るブラスト除染作業の実証を行った。今後も、発電所の建屋内の除染やサンプルの採取作業などを続けていく計画だ。(高田)