簡素な構造の無人ヘリがかつてないほど注目されている。意図を持って自動的に飛行するロボットと化すことで、無人ヘリの真価が発揮される。産業応用から始まり、最終的には人の近くを飛び交うことになりそうだ。

 「あれ、止まったぞ。渋滞かな」。クルマの運転中、“千里眼”のように道路の前方の様子を見てみたいと思ったことはないだろうか。たまたま流れが悪くなっただけなのか、それとも状況の回復に時間がかかりそうな事故なのか。少し先を見通せれば、もっと正しい判断ができるのに、と。

 「テレビのリモコン、あんなところにあるのか。取りに行くのは面倒だな」。家でソファーに寝転びながら、“念力”でリモコンを動かすことを願った人も多いだろう。手元まで飛んできてくれたらいいのに、と。

 2020年ごろには、こうした願いがかなう兆しが見えてきた。人の代わりに物を動かしたり、動いて人の機能を肩代わりしたりする「ロボットヘリ」が上空を飛び交い、建物の中を縦横無尽に飛び回る時代が近づいている(図1)。

図1 小型電動ヘリの用途が拡大
図1 小型電動ヘリの用途が拡大
技術開発の進展や利用環境の整備に伴い、小型電動ヘリの用途が拡大する見通しだ。一部のユーザーだけが使っていた状況から、まず産業応用が盛んになる。4~5年後には一般ユーザーとの共存が始まる。
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