編集長から

有機と炭素のつばぜり合い
 本誌の900号記念特集で「インビジブル・エレクトロニクス」という標語を掲げました。自動車や建築、農業や医療まで、社会のあらゆる分野へ電子技術が浸透していくためには、電子技術は裏方に徹し、存在感も値段の面でも「見えなくなる」ほどになるべきだとの主張を込めました。そのときの実現手段として想定していたのが有機エレクトロニクスです。あれから9年たちました。当時の想定ほど有機エレクトロニクスの市場は拡大していません。そこに対抗馬として名乗りを上げたのが炭素エレクトロニクスです。大面積、フレキシブル、かつ安価なデバイスを真っ先に実現して、世界に自然に溶けこんでいくのは、炭素デバイスの方かもしれません。双方の技術が切磋琢磨して、さらなる発展を遂げることを望みます。(今井)