製造業に身を置くベンチャー企業、いわゆるものづくりベンチャーが続々と表舞台に登場している。新興国や新たに立ち上がる用途など、日本の大手メーカーが手薄となっている領域で、機動力を武器に高付加価値製品を迅速に市場投入する。彗星のごとく現れた彼らは一体、何者なのか。そして、彼らは製造業に、どんな新風を巻き起こすのか。
ものづくりベンチャー、現る
目次
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総論:ベンチャーが切り開く新しいものづくり
少量・中量生産で迅速に市場投入
2014年2月、国内製造業に衝撃が走った。デジタル家電の雄であるソニーが、パソコン事業の譲渡と、テレビ事業の分社化を発表したのである。パソコン事業に関しては、世界的なパソコン業界全体の構造変化などを鑑みて、投資ファンドの日本産業パートナーズに事業譲渡することを決断したという。テレビ事業については、こ…日経ものづくり
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事例1:電動2輪車[テラモーターズ]
初のiPhone連動で新興国攻める
テラモーターズ(本社東京)は、2010年の設立からわずか2年で国内シェアNo.1となった電動2輪車を手掛けるベンチャー企業だ。2012年にベトナムやフィリピンに現地法人を設立して駐在員を派遣。新興国を中心に現地のニーズをくみ取った「新感覚の電動2輪車」を提供することで、韓国や中国の企業より先に市場を…日経ものづくり
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事例2:ネット接続機器[Cerevo]
多分野の技術が必要な製品で世界へ
一風変わった電子機器を手掛けることで世界23カ国に顧客を持つベンチャー企業がCerevo(本社東京)である。社員数が13人の同社が手掛けるのは主に、デジタルカメラやビデオカメラ、スマートフォン(スマホ)などにインターネットやケーブルで接続して使う電子機器(デバイス)。接続するだけで、「新しい体験を誰…日経ものづくり
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事例3:電動車椅子[WHILL]
格好よさを追求し乗る人の個性に
WHILL社は、2014年初めから、独自開発した電動車椅子「WHILLType-A」(以下、WHILL)の受注を米カリフォルニア州などで開始した(図1)。同年1月末の段階で受注台数は15台。4月中に50台の受注を獲得できそうだ。設立わずか2年目で、米国市場に打って出る機動性は、ベンチャーの身軽さを象…日経ものづくり
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事例4:エネルギー管理システム[Sassor]
物×情報×ネットで巨大価値を目指す
大手がひしめくエネルギー管理システムで独自の分野を切り開いている国内ベンチャーがある。小規模店舗向け電力見える化システム「ELP(Energy Literacy Platform)」を展開するSassor(サッソー)(本社東京)だ。特筆すべきはコスト競争力高さ。既に複数の外食チェーンの計60店舗で採…日経ものづくり
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事例5:腕時計型玩具[Moff]
子どもの「動き」をビッグデータに
Moff(本社東京)は、「IoT(Internet of Things)」の分野で先進的な取り組みを進めるベンチャー企業の1つだ。同社は、スマートフォン(スマホ)と連携させて使う子ども向けの玩具「Moff」(以後、ウェアラブルトイ)を開発した(図1)。子どもが手首に装着して使う腕時計型の玩具である。…日経ものづくり
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事例6:タブレット端末[ユビキタスエンターテインメント]
ユーザーのリソースを借りて進化する
日本の大手電機メーカーでさえ影が薄いタブレット端末市場に果敢に挑むベンチャーがいる。独立系のソフトウエア会社ユビキタスエンターテインメント(本社東京。以下、UEI)だ。同社は2013年4月、独自開発のタブレット端末「enchantMOON(エンチャント・ムーン)」を発売した。斬新な操作性がウリだ(図…日経ものづくり
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事例7:私がパナソニックで社内ベンチャーを立ち上げたワケ
パナソニックの社内ベンチャーとして2007年10月に設立したイブリダセル(本社東京)は、ニッケル水素2次電池とリチウム(Li)イオン2次電池を組み合わせた「BMバッテリー」を製造する電池パックメーカーだ。自動車やバイクのレース用バッテリーというニッチ市場をつかみ、創業1年目から黒字を続けている。代表…日経ものづくり