発見から20年超のカーボンナノチューブや同10年のグラフェンといった微細な炭素材料を利用した電子部品がいよいよ実用化され始めた。最近性能が大きく向上したダイヤモンド半導体も含め、「炭素エレクトロニクス」が電子部品や電子回路を大きく変えようとしている。

 「夢は、シリコン(Si)を炭素(C)で置き換え、電子回路をすべてCで製造するオールカーボンの実現」「3000年前までは青銅器(Cu)時代、20世紀前半までは鉄(Fe)の時代、それからSiの時代だったが、今後はCの時代になる」─。

 ある炭素材料の研究者は、研究の意義や目標をこう語る。特に、電子回路のオールカーボン化は、炭素材料の研究者の共通認識といえるかもしれない。今その夢は、実現に向かって急激に動き出した。オールカーボン化が現実になれば、電子機器はこれまで以上に軽くて丈夫、フレキシブルでも超高性能、それでいて大幅に低価格になる。