プレス加工を中心に、切削、溶接、組み立てなどの機械加工系技術を持ち、主に金属製の自動車部品を手掛けているのが樋口製作所(本社岐阜県各務原市)だ。同社が今、立ち上げに奔走するのがメキシコ新工場「Higuchi Manufacturing Mexico」である。年間売り上げが70億円弱の規模の同社が、約7億円を投じて2013年6月に設立した工場だ。2014年8月に稼働を開始する計画となっている。

 量産するのは、自動車のエアバッグの部品。具体的には、インフレーターのケースだ。エアバッグは火薬に着火して生じる爆風で膨らむ。インフレーターは、この火薬を収めるケースで、円筒状の容器であるベースと、蓋であるキャップアセンブリーから成る。加えて、シートベルトの部品であるリトラクターベースも造る。これは、巻き上がったシートベルトを収めるケースである。

 両ケース共に、材料として超高張力鋼板を使う。同鋼板をプレス加工で成形した後、複数の成形品を溶接して組み立て、塗装を施して造る。リトラクターベースの方は未定だが、樋口製作所はメキシコ新工場においてインフレーターのケースを年間200万個ほど量産する計画だ。