編集長から

電装化のハイプ・サイクル
 燃料電池の普及がいよいよ始まりそうです。日経エレクトロニクスの過去の記事から判断すると、1990年代後半に自動車への応用が取り沙汰され、21世紀に入るころから住宅用や携帯機器向けの開発も活発になり、携帯機器向け製品の実用化が息切れする逆風の時期を経て、現在に至ります。米国の調査会社Gartner社が主張する技術の「ハイプ・サイクル」が示す通り、大きな期待を集めた後の幻滅の期間を通過して、安定的に発展する段階に突入した格好です。実用化にこれほど時間がかかるのは開発上の難題に加えて、競合技術の動向や需要の変化、同時多発テロや東日本大震災といった社会的な事件までが関わるからでしょう。今後、様々な領域で進む「電装化」でも、幅広い技術や応用に目を配っておかないと、開発の方向性や製品化の時期を見誤りかねません。日経エレクトロニクスは視野を広くとった情報提供で、読者の方々を支援していきます。 (今井)