機器開発を進める上で必要不可欠な熱設計。本連載では、熱設計の基礎である伝熱や熱対策、そして基本的な熱設計手法を解説する。今回は、熱伝導と対流、熱放射、そして物質移動による熱輸送で熱がどう逃げていくのかを知り、それを利用した効果的な熱対策を見ていこう。(本誌)

 これまで解説してきた、熱伝導、対流、熱放射、そして物質移動による熱輸送という四つの現象で、熱がどう逃げていくかを見ていく。

 図1は、電子機器の模式図である。プリント基板には部品がはんだ付けされていて、部品の中に半導体チップが入っているという構成である。熱源は半導体チップで、ここから発生した熱はまず熱伝導で伝わっていく。部品の中は熱伝導の組み合わせの計算になるので、それほど難しくない。

図1 機器の放熱経路
図1 機器の放熱経路
機器内部で発生した熱は、伝導・対流・放射・換気(物質の移動による熱輸送)により、様々な経路を経て最終的にはすべて外気に放出される。
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