タイトル

 未就学児、中でも男の子が1度は手にする玩具といえばミニカーだろう*1。そのミニカーの分野で新市場を切り開いたのが、バンダイ(本社東京)の「ブーブ」(VooV)だ(図1)。ブーブの特徴は、1台で2つの“顔”を持つこと。前後左右に展開できる構造となっており、裏返して組み立てることで別の車両に変形するのだ。乗用車がパトカーになったり、特急列車が新幹線になったりと、さまざまな種類の商品がラインアップに並ぶ。

*1 本稿における「ミニカー」は、クルマだけではなく列車などを模した商品も含む。

図1●変形するミニカー「ブーブ」
写真は、クルマの「VS」シリーズと、列車の「VL」シリーズ。クルマは、パトカーなどの「働くクルマ」が人気。列車は、東日本旅客鉄道の新幹線「E6」など新型車両をいち早く取り入れることを重視しているという。
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 この「1台で2台分楽しめる」(同社ボーイズトイ事業部企画第二チームサブリーダーの長谷川歩氏)という新たな価値が評価されて、2010年3月の発売から1年で約120万個、累計で約320万個を売り上げた。玩具業界では、年に10万個売れればヒットといわれる。しかも、ブーブのように固有のブランドとして定着できる商品は「極めて珍しい」(同社)。