電気二重層キャパシタの速い充放電特性を損なうことなく、電気容量を大きく高められる新しい電極材を豊橋技術科学大学が開発した。「カーボンナノバルーン」と呼ぶもので、量産品で使う活性炭に比べて電気容量を5割増やせる。さらに次世代材料として最近研究が進むカーボンナノチューブに比べても電気容量を高められそうだ。(本誌)

 豊橋技術科学大学は、電気二重層キャパシタ(EDLC)の電気容量を5割超高めることに成功した。カーボンナノバルーンと呼ぶ新しい炭素材料を電極に使って実現する(図1)。同材料は「バルーン」と名が付くように、風船のような中空の多面体構造のもの。現在、東海カーボンや湘南合成樹脂製作所と実用化を目指して研究を進めている。

図1 新しいカーボン材でEDLCを作る
(a)カーボンナノバルーンの結晶構造。直径が数十nmで、風船のような中空の多面体構造である。(b)バインダを混ぜてプレスし、EDLCの電極にした様子。直径が20mmで厚さは1mm。
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