編集者から
目次
-
絵が動く魔法の箱 ほか
漫画「ドラえもん」で、のび太の先祖がタイムマシンで現代にやってくる話があります。彼は現代を見て仰天し、自分の時代に戻ったときに、「鉄でできた獣や鳥」や「山より高い石造りの建物」を見たと皆に話します。前者は飛行機や車、後者は高層ビル。そして、テレビのことは「絵が動く魔法の箱」と表現しました。特集(記事…
-
老兵は死なず ほか
「てんてこ舞い」とはこのことです。取材先の方の一言はBreakthroughの本文(記事)で紹介しましたが、記者自身も人工知能(AI)の事業や研究の動きの速さに翻弄されっ放しでした。取材するはずの米ベンチャーが買収されて急遽日程が先送りになったり、コメントをもらった教授の所属がいつの間にかわっていた…
-
無線給電の市場急拡大に驚き ほか
無線給電技術の記事を書き始めて9年あまり。今回の特集(記事)で久しぶりにまとまった取材をして、“故郷”の変化を知らない浦島太郎になっていたと気が付きました。ただ、変化が始まったのはごく最近。この1年ほどで市場が急拡大しているのです。米Amazon.com社の米国サイトではQi規格準拠の製品数がこの1…
-
きっかけはCES ほか
今回の日本電産の特集のような、いわゆる「1社もの」は本誌では珍しく、私にとっては初めてでした(記事)。きっかけは、1月に開催された「CES 2016」です。同社のブースには、いい意味で予想を裏切られました。部品メーカーの展示は家電メーカーに比べて地味、という先入観があったのですが、同社のブースでは、…
-
鉄道とIoT/ビッグデータの親和性 ほか
今回の鉄道特集の取材で特に興味深かったのが、IoTやビッグデータの活用に積極的な鉄道事業者の姿勢です。よく考えたら鉄道自体が巨大なネットワークですし、日々の運行で膨大な量のデータが生み出されています。ある取材で聞いた「鉄道とIoT/ビッグデータの親和性は高い」という意見に納得してしまいました。枯れた…
-
再び情報産業に組み込まれる印刷技術 ほか
IoTの普及を印刷プロセスが助けるという趣旨の記事を書きました。輪転機による連続プロセスがデバイス製造コストを抑え、オンデマンド印刷による製造手法が多様な応用へのカスタム化に対応します。これまで紙への印刷では、1000年以上前に始まった活版印刷が書物を普及させ、最近普及したインクジェットプリンター…
-
安全性向上も喫緊の課題に ほか
「これ、見てください。まるで爆竹が破裂するようでしょ」。次世代のLiイオン電池に関する特集記事(記事pp. 29─45)の取材で、ある電池メーカーを訪れた際、電動車両の事故映像を見せていただきました。搭載する電池が何らかの理由で発火し、まるで爆竹のように連続して弾ける様子は、衝撃映像そのものでした…
-
建設や警備に広がるOculus ほか
VR(仮想現実感)技術やVR用ヘッドマウントディスプレー(HMD)で人手不足を解消する手段を実現する動きが出ています(記事)。そこで活躍するのが、米Oculus VR社のHMD「Oculus Rift」です。建機の遠隔操作システムや警備システムなどで利用されていました。Oculus Riftは現在、…
-
シリコンバレーで、今何が熱いのか? ほか
今、シリコンバレーではどのような技術トピックやベンチャー企業が注目を集めているのか─。このような疑問を出発点にした今回の特集。ビジョナリーや半導体メーカーの著名な開発者にインタビューを繰り返して見えてきたのは、ズバリ「クルマ」と「ロボット」、そして「バイオ」でした。想像していた以上に同地では今、この…
-
9年間で激変した競争環境 ほか
本誌で今回の特集のように幅広い読者を対象にアンケートを実施したのは9年ぶりです(2006年7月17日号以来)。この間に電子産業の競争環境は大きく変わりました。日本メーカーは薄型テレビのビジネスで韓国メーカーなどに大きく負け越し、“お家芸”だった携帯電話機もスマートフォンに取っ…
-
参加することに意義がある ほか
特集の取材で、「選手の視点に立てることで、観戦ではなく体感に変わる」と聞きました。選手でなくてもオリンピックに“参加”できそうに思い、「参加することに意義がある」という言葉が浮かびました。「弱くても参加すればよい」という意味と思われがちですが、本来の意味は「重要なのは勝つことではなく、高い目標に向け…
-
「コストの呪縛」に囚われないで ほか
今回のメモリー特集では、主記憶などを代替可能な新型不揮発性メモリーが爆発的に広がる可能性をお伝えしました。ただし、取材では開発関係者の悩みも垣間見ました。それは、競合するDRAMなどが安すぎる点。DRAMは1Gビット100円弱で、「コーラ1杯より安い」(ある研究者)のです。心配なのは、開発関係者自身…
-
脳を知らねば始まらない ほか
白い紙も夕日を浴びると赤くなります。それでも我々は紙の色を白と認識できます。この認識の過程には、目ではなく脳が関与しています。製品の色さえ、脳の仕組みが分からないと最適化できないと言えます。
-
こんな日が来ようとは… ほか
学生時代はATR 川人光男氏の「Feedback-error-learning」などニューラルネットワーク関連の論文をよく読みました。既にブームは終わりかけたころだったでしょうか。その後、パターン認識の分野ではサポートベクターマシン(SVM)が全盛となり、ニューラルネットワークはすっかり影を潜めてい…
-
蓄電池にも騒音対策が必要に ほか
「稼働部分がない蓄電池に、騒音問題が浮上するとは思わなかった」─。驚いた様子で語るのは、再生可能エネルギーと蓄電池による、電力自給の実証実験の関係者です。設置したコンテナ型蓄電池の近くに住む住民から、「うるさい」との苦情があったと言います。
-
再生するか日本の半導体工場 ほか
日本の半導体メーカーはかつて、ムーアの法則に従って微細化を追求し、最先端の半導体工場を競うように建設しました(記事)。今ではそのうち多くの企業が微細化競争から撤退し、工場閉鎖などを余儀なくされています。一方、外部から資本が注入されることで、別の工場として生まれ変わる事例も見られます。例えば、ルネサス…
-
空飛ぶクルマの現実味 ほか
ヒトやモノの移動手段が多様になっています。将来は、クルマ、電車、飛行機などの既存の移動手段にも革新が起こりそうです。空飛ぶクルマという提案もあります。当初、SF映画の世界のものと記者は思っていましたが、自動車業界には現実的と考える人が少なくないようです。既に複数の企業が開発中で、トヨタ自動車も研究中…
-
融合の先は、ロボットに飼われる? ほか
リニューアル第1弾の特集にふさわしい記事を。編集長からそんな命題が与えられ、書き上げたのが今回の特集です。ちょうど2年前の本誌の特集「やさしい機械」と同様、ロボットとヒトが共生する時代が近づいていることを改めて実感しました。一方で、記事を書きながら、ロボットが、あるいは人工知能が、ヒトの能力に近づき…
-
ビーコンやってるよ
「ビーコンの活用なんて、検討してませんよね…」。「やってるよ」─。今回の特集の取材では、こんな会話を何度も繰り返してきました。データセンターの省エネ化の取材で訪れた篠原電機、位置情報関連の展示会でたまたま見かけたリプロなどです。Bluetooth Smartを使うビーコンが登場した際、正直私は、類…
-
ノーベル賞で研究費増? ほか
「GaNパワー素子に注目が集まるようになってうれしい限りです」─。国内のあるGaN系半導体の研究者にノーベル物理学賞受賞の感想を尋ねたところ、こうした答えが返ってきました。青色LEDはGaN系半導体で作られます。しかも、受賞者の1人である天野氏は、次の研究テーマは何かと問われるたびに「GaNのパワー…