データセンターを構成するサーバー、手元にあるスマートフォン――。どんなに複雑に見える電子機器も分解すれば、各種インターフェース技術で結ばれたLSIで構成されている。本連載では、このインターフェース技術の基礎についてなるべく平易に、詳細に解説していきたい。

 インターフェース技術には、無線信号や光信号を媒体とするものがあるが、本連載では電気信号によるものに限ることとする(図1)。無線や光で通信する場合であっても、最終的には電気信号にした後、処理せざるを得ないからだ。電気伝送の知識は全ての基礎である。

タイトル
図1 物理媒体によるインターフェースの分類
今回紹介するのは電気信号を使って伝搬する技術(□で囲まれた部分)に限定

 電気信号伝送によるインターフェース技術を学ぶことは、デジタル技術を学ぶこととほぼ同義である。インターフェースは、初期のパソコンで利用されていたような10Mビット/秒以下の低速のものから、現在では1Gビット/秒を遙かに超えるような伝送速度に到達している。デジタル化することで、扱えるデータ量が飛躍的に増大し、伝送途中で情報が誤ったことを検出できるばかりか、訂正さえできるためだ。基本的なデジタル回路は数個のトランジスタで実現される。具体的には、出力が複数の入力の組合せにより決定されるAND、ORなどの組み合わせ回路(Combination Circuit)と現在の入力だけでなく過去の入力(状態)との関係で出力が決定されるフリップフロップに代表される順序回路(Sequential Circuit)だ。これらを積み上げていくことですべての機能が実現されている(順序回路自身が組み合わせ回路で構成されている)。つまり、本連載を読めば、デジタル回路の基礎も学ぶことができる。

 もちろん、電気信号を送り届ける部分はアナログ信号である。そのため、アナログ技術の知識も吸収できるはずだ。

 表1に本連載で触れる範囲を示す。

表1 連載の説明範囲
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