安全制御システムにおける安全リレーモジュールの働き

 初めに、安全制御システム全体の働きを説明します。ここでは例として、非常停止スイッチの操作に応じてコンタクタが負荷(モータ)回路を開閉するシステムを用います(図3)。モータ運転時に非常停止スイッチが押されると、モータを直ちに停止させるというものです。

図3●非常停止スイッチの操作に応じてコンタクタが負荷回路を開閉する安全制御システム
[画像のクリックで拡大表示]

 非常停止スイッチはNC(ノーマル・クローズ)接点が使われており、通常は閉じていて(オンになっていて)安全状態を意味する信号(安全信号)を出力します。一方、何らかの異常が起きて非常停止スイッチが操作されると(押されると)、接点が開いて(オフになって)安全信号を出力しなくなります。

 非常停止スイッチからの信号を受ける安全リレーモジュールでは、非常停止スイッチからの安全信号が入力されていて、さらに制御システムのスタート(起動)スイッチが押された場合に、モータの運転を許可する信号をコンタクタに出力します。そうしてコンタクタの接点が閉じ(オンになり)、電源から電力が供給されると、モータが運転を始めます。ちなみに、コンタクタの接点はNO(ノーマル・オープン)であり、安全リレーモジュールからの信号がない状態では開いています。

 こうした安全制御システムにおいて、モータの運転中に非常停止スイッチが押されると、安全信号が安全リレーモジュールに入力されなくなり、安全リレーモジュールはコンタクタへの信号(モータの運転を許可する信号)の出力を停止します。これを受けて、コンタクタのNO接点も開く(オフになる)ので、モータは停止します。

 さらに、非常停止スイッチが押されている状態では、仮にスタートスイッチが押されたとしても安全リレーモジュールはコンタクタに信号(モータの運転を許可する信号)を出力しないようになっているので、モータは動きません。モータを再スタートさせるには、非常停止スイッチをリセット(操作された状態の解除)した上でスタートスイッチを押す必要があります。