<存在検出および扉の開閉検出>
 セーフティ・レーザスキャナの中には、防護領域周辺の特定の領域(以下、周辺領域)にある物体について、セーフティ・レーザスキャナ本体から物体までの距離の変化(以下、距離変化)を監視できる機種があります。この機能を「リファレンス機能」といいます。

 リファレンス機能を用いることによって、扉の開閉や安全柵の変形といったことを把握できます。例えば、扉の位置をリファレンス機能を適用する領域(リファレンス領域)に設定すると、扉の開閉を検出できるわけです(図8)。この場合、人が扉を開けて中に入ろうとすると、扉が開いたことをセーフティ・レーザスキャナが検出し、機械を停止させます。

 さらに、リファレンス領域を防護壁の一部にも設定しておけば、ワークなどセーフティ・レーザスキャナに当たって本来の固定位置からズレたり防護壁が変形したりした場合にも、壁までの距離変化が検知されるので、機械を停止させた上で保守が必要であることを知らせることが可能になります。

図8●リファレンス機能による扉の開閉検出
[画像のクリックで拡大表示]

<ミューティング機能>
 セーフティ・ライトカーテンと同様に、セーフティ・レーザスキャナにもミューティング機能があります。ミューティング機能とは、ワークを自動で危険区域に搬入するような生産ラインにおいて、ワークはそのまま通過させ、間違って進入しようとする人などだけを検出するための機能です。

 自動車のボディに、セーフティ・レーザスキャナおよびセーフティ・ライトカーテンでミューティング機能を適用した例を、それぞれ図9図10に示しました。このような台形状のワークの場合、セーフティ・レーザスキャナの方が無効になる領域が少ないので、安全性を高められます。

図9●セーフティ・レーザスキャナで自動車のボディにミューティング機能を適用した例
図10●セーフティ・ライトカーテンで自動車のボディにミューティング機能を適用した例
[画像のクリックで拡大表示]