距離検出の原理

 検出には、波長が約905nmの赤外線レーザを用いるのが一般的です。赤外線ですので、人の目には見えません。仮に光が目に入っても安全なエネルギレベル(クラス1)のレーザを使用しています。

 レーザは、扇状に少しずつ角度を変えながら照射されます。連続波ではなくパルス波です。レーザがセーフティ・レーザスキャナ本体の発信器から照射され、検出物体に当たって反射し、セーフティ・レーザスキャナ本体の受信器に戻るまでの時間を測定することで、検出物体までの距離を算出します(図3)。

図3●距離検出の原理
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検出領域の設定

 一般に、警告領域や防護領域といった検出領域の設定は、専用のソフトウエアで行います。ソフトがインストールされたパソコンとセーフティ・レーザスキャナを接続することで、パソコンの画面を見ながら任意の形状を検出領域として設定できます(図4)。さらに、いったん現場の状況をスキャンした上で、そのデータに基づいて検出領域を設定することも可能です(図5)。

図4●専用ソフトによる検出領域の設定
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図5●スキャンデータを用いた検出領域の自動設定
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 検出領域を設定する際は、検出可能な物体の大きさの最小値(最小検出物体)に注意が必要です。セーフティ・レーザスキャナでは、光源からの距離が遠ければ遠いほど、小さい物体を検出しにくくなります(最小検出物体が大きくなります)。最小検出物体については、防護領域の外周部で直径70mm程度という目安があります。この直径70mm程度という目安は、衣服を含む人の足首の大きさを想定したもので、人の進入を確実に防ぐためにこうした基準となっています。