この連載を始めるきっかけは、筆者自身がここ1年間ほどマジにテニス修行をしていたことだ。もう60歳になるので、そのハンディ克服のためにネットワークを駆使してテニスの練習に励んだのだが、思いのほか学習効果があり、最初ボロ負けだった練習試合にも後半から勝てるようになった。そうこうしていると、友人から「レポートにまとめろよ」と言われたので「スポーツにおけるオンライン学習効果」として研究報告にまとめ、大学の紀要原稿として投稿した。
IT系の教員を務めているので「テニスがうまくなるためにオンライン学習を取り入れると効果がある」として、オンラインを使った学習効果をまとめたわけだ。実際には体を動かす競技スポーツであるから、身体能力や心理的要因などのアナログ的要素が多かったのが事実だ。またコート上でスクールコーチに手ほどきを受けたことや、自分で工夫しながら練習したことも大きな要因であり、それらがオンライン学習と相まって総合的にテニスの腕をあげることになったのは言うまでもない。
1年間の修行内容はテニススクールに週1回のペースで通い、毎週スクールレッスン後に生徒たちとの練習試合を行なった。その勝率を上げることを目標に自主練習とオンライン学習の両面から練習カリキュラムを組んだ。
するとオンライン学習をしていない生徒との練習試合に勝てるようになってきた。スクールも自主練習もほかの生徒たちと同じようにやったので、やはりオンライン学習の効果が出たと言える。
勝てるようになった要因は、(1)映像コンテンツによる最先端のテニス・テクニックのイメージトレーニング、(2)テニス仲間とのクラウド環境での情報交換やSNSでのコラボレーション、(3)身体的特徴と心理トレーニングを応用した独自理論開発――の三つである。この連載では、それぞれ3回ずつの記事にして掲載する予定である。
エキスだけをまとめてマニュアルフローにしようとがんばったのだが、身体面と心理面の要素が多分にあり、科学的分析レポートと言うよりはむしろ語り口調の文章にすることで真意が伝わると思ったので、読み物にしようと思う。
第1回から第3回までは、視覚的にわかりやすい映像コンテンツがテニスの実力向上にどう役立ったのかを紹介する。そのノウハウをビジネス能力向上学習に応用すると、どんな効果が得られるかも解説する。