半導体パッケージの進化を支えてきた主要部材が,パッケージ基板と封止樹脂である。パッケージ基板は,半導体チップとマザーボードを電気的に接続する。封止樹脂は,湿度や温度などの外部環境の変化から半導体パッケージを保護する。いずれも,パッケージの高性能化に向けた実装手法の変化に対応した進化を遂げてきた。今後,半導体チップの基板への内蔵や環境対策といった新たな課題に応えていく必要がある。今回は,こうしたパッケージ基板と封止樹脂の進化を解説する。

半導体チップの微細化に対応して狭ピッチ化
プレス加工で成形したリードフレームのリード先端部の外観。新光電気工業のデータ。

パッケージ基板
跡部 英美
 新光電気工業
 第一PLP事業部 設計部

 パッケージ基板は,半導体チップとマザーボードを電気的に接続する機能を担う。近年,電子機器の高性能化を目的として,半導体パッケージの実装密度の向上が急速に進んだ。これに伴って,パッケージ基板の構造や材料,製造プロセスは大きな変化を迫られている(図1)。

図1●パッケージ基板の進化
パッケージ基板は,パッケージ形態の変化に対応して進化してきた。従来のリードフレームからBGA,さらにフリップチップ方式のBGAへと進化している。フリップチップ方式のBGAでは,ビルドアップ法によって微細配線に対応できるようになった。著者のデータ。
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リードフレームを狭ピッチ化

 1970年代後半まで,半導体パッケージの主流はDIP(dual inline package)などの挿入実装型パッケージだった。ところが,挿入実装型パッケージは多ピン化が難しく,1980年代以降の高密度実装に対応できなかった。そこで,高密度実装に応えるために,QFP(quad flat package)などの表面実装型パッケージが登場した。その基板として使われたのが,金属のリードフレームである。リードフレームは,内部リードと外部リードから成る。前者はボンディング・ワイヤーを介して半導体チップと接続し,後者はマザーボードと接続する。

 1990年ころから,半導体チップの小型化と入出力端子数の増加が加速した。これを受けて,内部リードの先端のピッチを狭くする必要が生じた。内部リードは,チップ近辺から外側へ複数のリードが放射状に広がった構造をしている。このため,リード先端のピッチを狭くするほど,リード先端位置をチップに近付けられる。リード先端のピッチが広いと,半導体チップを小型化した分,リード先端とチップの距離が長くなる。この結果,両者をつなぐボンディング・ワイヤーが長くなり,たわみによるワイヤー同士の接触などの問題が生じやすくなる。

 狭ピッチのリードフレームの成形手法には,エッチング工法とプレス工法がある。エッチング工法では,フォト・マスクを使い,金属の不要な個所を除去してリードフレームを作成する。プレス工法では金型で成形する。量産コストを低くでき,大量生産に向くのはプレス工法である。ただし,従来は金型の加工精度が低かったために,狭ピッチ化が難しかった。そこで,多ピンのリードフレームでは当初,エッチング工法が採用された。ここへ来て,金型の加工精度が高まったことで,プレス加工でも110μm程度までの狭ピッチ化が可能になった。