ミューティング機能

 ライトカーテンの大きな特徴としてミューティング機能があります。これは、ワークを自動で危険区域に搬入するようなシステムにおいて、ワークはライトカーテンをそのまま通過させ、間違って進入しようとする人などだけを検出するための機能です。ワークが通過するたびにライトカーテンが動作すると困るので、こうした機能が設けられています。

 ミューティング機能を採用したシステムを図9に示しました。ライトカーテン本体に加えて、少なくとも2組のミューティング・センサを使用します。その仕組みは以下の通りです。

[1]ワークが2組のミューティング・センサの光線を両方とも遮光すると、ライトカーテンにおいてワークの高さにある光線を受光できなくても受光側ユニットの出力はオンのままとします(ワークのA-B点がコンベヤ上のA´-B´点まで到達するとミューティング・センサの光線が両方とも遮光されます)。
[2]ワークが通過している間は、ミューティング状態であることを周辺に警告するために、備え付けのランプを(ミューティング用ランプ)を点灯させます。
[3]ワークが2組のミューティング・センサの光線上を完全に通過し終えると、ミューティング状態が解除され、ライトカーテンは元の状態に戻ります(ミューティング機能を解除するには、ワークのC-D点がコンベヤ上のC´-D´点を同時に通過する必要があります)。

図9●ミューティング機能の使用例
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 人がコンベヤ上を通過しようとしても、胴体や足首は2組のミューティング・センサの光線を両方とも遮蔽できない上、ワークよりも高い位置で照射されているライトカーテンの光線が遮蔽されるので、ライトカーテンの受光側ユニットの出力は即座にオフとなり、機械は安全に停止します。このことから、2組のミューティング・センサの光線が交わるポイント(クロスポイント)は危険区域内に設定しなければならないことが分かります。


 これまで説明してきたように、ライトカーテンは人や物体が通過したことを検知できます。しかし、人や物体が中に入ったのか外に出たのかということまでは分かりません。次回は、主に危険領域内において人の存在を検知するための安全機器を紹介します。