安全距離の確保と設置

 ライトカーテンには、人や物体の進入を遮蔽する柵や扉がないので、実際に人や物体が光線を遮ってからそれを検知して機械(の可動部)を停止するまでの時間に基づいて、人や物体が危険源に接触しないようにするための距離(安全距離)を確保する必要があります。この安全距離によってライトカーテンの設置場所を決めます。

 それにはまず、遮光する物の大きさに応じて適切な光軸ピッチのライトカーテンを用いなければなりません。具体的には、図3のように指を検知するシステムでは、最小検出物体が直径14mmという光軸ピッチが狭いタイプを使用します。図5のように手を検出するシステムでは同25mm、腕を検出するシステムでは同45mmのタイプが適しています。一方、図2のように人体そのものを検知するシステムでは、光軸ピッチがもっと粗い(大きい)タイプでも構いません。

 その上で、決められた計算式によって安全距離を算出します(図7)。計算式中の2000や1600といった数字は、1秒間に人が歩く距離(単位はmm)の想定です。

図7●安全距離の計算式
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 安全距離だけではなく、設置場所の高さについても確認しておく必要があります。ライトカーテンの下をくぐれるようでは意味がないので、そうしたことも考慮して設置しなければなりません(図8)。ライトカーテンの長さは、300mm程度のものから2000mm近いものまでさまざまな大きさがそろっていますので、用途に応じて適切なものを選んでください。

図8●誤った設置例と正しい設置例

使用上の留意事項

 前述の通り、ライトカーテンは扉を使わずに安全を実現する装置なので、それに伴う留意事項があります。加えて、光学系の電子機器という面での留意事項も存在します。具体的には、以下のような留意事項が挙げられます。

■機械から出てくる切粉/切削油/放射線/騒音などは遮蔽できないので、そうしたものを遮蔽しなければならない場合は、扉とインターロック装置(安全スイッチ)の組み合わせにより安全を確保します。
■蒸気やホコリなどの多いところでは、光線が妨げられたり、投光/受光のレンズが汚れたりするので、使用を避けた方がいいでしょう。
■太陽光やストロボ光などのライトカーテンにとっての外乱光は、受光側ユニットの受光面に直接当たらないようにします。
■反射性の壁面などが近くにあると、人や物体によって光線を遮蔽されていても受光側ユニットがその反射光を受光してしまう恐れがあります。