前回は、電気的な側面からスイッチの選定・使用のポイントを解説しました。今回は、機械的な側面を取り上げていきます。主なポイントは、F-S特性(後述)、操作速度、振動・衝撃、ストローク、保護構造の5つです。

1.F-S特性

 Fはスイッチの操作力(Force)、Sは操作量(Stroke)を表します。スイッチでは、操作部(アクチュエータ)を自由位置(FP)から動作限度位置(TTP)に押し込んだとき、および反対方向に戻したときの両方で、操作力と操作量の関係(F-S特性)が重要になります。F-S特性は、スイッチの種類によって異なります。

 図1に、スナップアクション機構を持つマイクロスイッチの特性を示しました(マイクロスイッチについては第2回を参照)。マイクロスイッチでは、可動ばねが反転/復帰する動きによってオン/オフを切り替えているため、切り替わる瞬間に操作力が大きく変動します(図2)。具体的には、オンになるときは可動ばねが反転するので操作力が急激に減少し、オフになるときは可動ばねが復帰するので操作力が急激に増加します。

図1●F-S特性
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図2●マイクロスイッチの構造
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 例えば、このマイクロスイッチを用いて物体が所定の位置にある(または移動した)ことを検出する場合、物体によって操作部が押し込まれ、動作位置(OP)に到達した瞬間にスイッチはオンに切り替わります(図1の動作1)。このとき、実際に物体が存在する位置とスイッチがオンになる位置(動作位置、OP)をそろえることが重要なので、あらかじめスイッチと物体の位置を調整しておかなければなりません。その場合、スイッチをオンにするための操作量(PT)が長いスイッチほど調整範囲を広く取れるので簡単に調整できます。