これまで、主要なスイッチの概要を紹介してきました。今回からスイッチを実際に選定・使用する上でのポイントを説明します。今回は、スイッチの電気的な側面を取り上げます。

[1]定格

 スイッチでは、接点に通電できる最大電流値が「定格」(定格通電電流)という仕様項目で規定されています。定格は印加する電圧の大きさと負荷(詳細を[2]で後述)の種類によって異なり、スイッチの特性および性能の保証基準となります。

 スイッチのデータシートや仕様書には、まず定格電圧が書かれています(図1)。そして、その電圧で流せる最大電流値(定格通電電流)が、電熱器のような抵抗負荷を用いた場合を代表として示されています。これらは、それぞれの電圧条件において定格電流を超えて使うことはできないことを意味しています。

図1●定格電圧と最大電流値(定格通電電流)

[2]負荷の種類と定格

 負荷は電気回路に接続されて電気エネルギを消費するものであり、大きく誘導負荷と無誘導負荷に分けられます(図2)。誘導負荷はコイルで構成された負荷、無誘導負荷はそれ以外のランプ負荷や抵抗負荷を指します。

図2●負荷の種類

 負荷の種類によっては、電源を投入した瞬間に定常よりもはるかに大きな電流が流れるものがあります。このときの電流を突入電流といいます。モータのような電動機負荷には定常電流の約5~10倍、白熱灯のようなランプ負荷には同約10~15倍の電流が流れます(図3)。

図3●負荷の種類と突入電流

 仕様において「電動機負荷」「ランプ負荷」というように負荷ごとに定格値が表示されている場合、該当する負荷の値でスイッチの使用可否を判断します。抵抗負荷しか表示されていなければ、使用する負荷の突入電流を概算した上で定格値を超えないかどうかを判断します。ランプ負荷は定常電流の10倍、電動機負荷は同6倍を突入電流の目安値として概算します。