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第5回:ロック付き安全スイッチとは(後編)

IDEC セーフティテック エキスパートチーム
2012/11/28 00:00
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 前回は、ロック付き安全スイッチの用途や構造、扉の開閉に伴う状態の変化などを説明しました。今回は、安全に扉をロックする方式の種類や、実際にスイッチを取り付ける場合の注意事項、人が扉の内側に閉じ込められた場合の対応などについて説明します。

扉を安全にロックする方式の種類

 扉をロックする方式は2種類あり、それぞれ「スプリングロック方式」および「ソレノイドロック方式」と呼ばれています。結論から先にいうと、稼働している機械と人の接触を確実に防ぐには、スプリングロック方式のロック付き安全スイッチを用いる必要があります。以下では両者の基本動作を紹介し、なぜスプリングロック方式が適しているかについて説明します。


 スプリングロック方式の基本動作を図1に示しました。扉が閉じてアクチュエータが挿入されるとカムが回転し、シャフトBが圧縮ばねの反発力でカムの凹部にはまり込み、アクチュエータが抜けないようにカムを固定します。ロックを解除するにはソレノイドに通電し、その電磁力でばねの力に抗してシャフトをカムと反対方向(図1では右)に移動させます。

図1●スプリングロック方式の基本動作
[画像のクリックで拡大表示]

 この方式は、扉が閉まると自動的にロックが掛かり、ロック解除時だけ電力を使うので、エネルギ消費量が少なくて済みます。さらに、システムが故障した場合(例えばソレノイドへの配線が断線した場合など)、ソレノイドに電力が供給されずロックを解除できません。作業者は扉を開けられないので、扉の反対側で運転を続けている機械と接触することはなく、安全を確保できます。ロックを解除するには、機械が停止したことを確認した後で、安全管理者がロック解除キーを使って手動で行います。

<ソレノイドロック方式>
 ソレノイドロック方式の基本動作を図2に示しました。同方式では、扉が閉じてアクチュエータが挿入された後でソレノイドに電力を供給します。その電磁力によってシャフトBが圧縮ばねの力に抗してカムの凹部にはまり込んでロックする方式です。ロック解除するときは、電力の供給を遮断してばね力でシャフトBをカムと反対方向(図2では右)に戻します。この方式では、ロックを維持するためにソレノイドに電力を供給し続ける必要があります。

図2●ソレノイドロック方式の基本動作
[画像のクリックで拡大表示]

 システムが故障した場合、ソレノイドに電力が供給されなくなるので、ロックが直ちに解除されます。この状態は、作業者が扉を開けて稼働している機械に巻き込まれる恐れがあり、危険です。従って、人の安全を確保するためには、スプリングロック方式のロック付き安全スイッチを採用する必要があります。一方、リスクが小さい場合や扉を開けると機械が必ずすぐに停止する場合は、ソレノイドロック方式でも問題ないと考えられます。

ロック付き安全スイッチを取り付ける場合の注意事項

 扉を勢いよく閉じると、アクチュエータや扉自体が安全スイッチ本体に衝突し、スイッチの取り付け位置がズレたり、スイッチ本体が破損したりする恐れがあります。それを防止するために、あらかじめ扉を閉めた状態でアクチュエータとスイッチ本体の間に適切な隙間を空けておくことや、扉に専用のストッパを設置すること(安全スイッチをストッパとして使用しないこと)が重要です(図3)。こうしたことは、ロック付き安全スイッチのみならず、ロックなしの安全スイッチにも当てはまります。

図3●隙間の確保およびストッパの設置

扉の内側に人が閉じ込められた場合の対応

 大型の機械では、複数の作業者でメンテナンスを実施した際、ガード内に人が残ったままの状態でそれに気づかず扉を閉めてしまうことが考えられます。そうした事態に備えて、残された人が自分の力で脱出できる仕組みを設ける必要があります。

 そのような仕組みとして、本体の裏側(危険領域)にロック解除ボタンが付いたロック付き安全スイッチがあります(図4)。ガード内に残された人は、このボタンを手で押すことによって、機械に停止命令を出すとともに、機械的に安全スイッチのロックを解除できます。

図4●裏面からロック解除できるロック付き安全スイッチ
[画像のクリックで拡大表示]

 次回は、非接触式の安全スイッチを紹介します。

■変更履歴
記事掲載当初、編集部のミスによって図2におけるソレノイドロックの状態に関する説明が誤っていました。お詫びして訂正します。現在は修正済みです。 [2012/11/29 13:40]
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