ロック付き安全スイッチと扉の開閉

 構造を理解したところで、ロック付き安全スイッチと扉の開閉の関係を説明します(図5)。

図5●ロック付き安全スイッチと扉の動きの関係(スプリング・ロックタイプ)
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<状態1>
 扉が閉じてロックされており、機械は稼働している状態です。アクチュエータが本体に挿入されているので、カムが回転しC部が閉じています。コイルは励磁されておらず、ロッド(B)は圧縮ばね(F)の力でカムの凹部とかみ合い、D部も閉じています。その結果、端子1から端子2へ信号電流が流れており、扉が閉じてロックが掛かっていることを意味します。機械は、稼働できる状態、または稼働を継続しても問題ない(安全である)状態です。

<状態2>
 機械が停止した後で、ロックが解除された状態です。機械が停止した後、外部のスイッチがオンになってコイルが励磁されている状態で、D部は開いています。その結果、信号電流が遮断され、機械は稼働できないことを意味します。なお、コイルが励磁されているので扉は開けられます。

<状態3>
 アクチュエータが抜かれて、扉が開いている状態です。アクチュエータが抜かれるとカムの回転が戻り、ロッド(A)が下がってC部も開きます。ロッド(B)は、コイルが励磁されない場合でもD部をオフにする位置で固定されます。扉が開いているときはC部およびD部が開きます。確実に機械の停止を維持するために二重に遮断します。

 その後、機械を再稼働させるには、扉を閉めて状態1に戻します。扉を閉めるとカムは再び回転し、ロッド(A)が上がってカムの凹部にロッド(B)が組み込まれ扉は自動的にロックされます。C部とD部が閉まり、端子1から端子2へ電気信号が流れ、機械が稼働してもよい状態となります。

 ただし、扉を閉めただけで機械が稼働してしまう事態は、安全上避けなければなりません。そこで、オペレーターが周囲の安全を確認した上で安全な位置に設けられた別のスタートボタンを押してからでなければ機械を再稼働できないようにしておく必要があります。

 次回の後編では、扉をロックするための構造や、ロック付き安全スイッチを機械に取り付ける上で考慮すべきことを解説します。