アナログ エレクトロニクスを支える基盤技術
 

公共インフラからコンシューマ通信へ(1)

中川 正雄=慶応義塾大学
2012/10/01 00:00
出典:NE PLUS、2007年4月9日号 、p.71 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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 ワイヤレス通信技術は,過去100年の間に大きく発展した。先駆者は,ワイヤレス通信技術を磨き,着実に市場を立ち上げてきた。

 とりわけ1990年代からはワイヤレス通信の意義や在り方が大きく方向転換した。今日も発展を続けており,ワイヤレス技術は今後も新たな展開を見せていくだろう。

 しかし,この1990年代の変化は,ユーザーやワイヤレス関連製品を開発する企業に混乱をもたらした。例えば,日本の企業/業界は,ワイヤレス通信の変革をもたらした無線LAN(local area network)などの市場で,新しい技術や製品をあまり展開できない状況にある。日本の企業は,市場のニーズを技術の形にしてもっと提案する立場にあると思うが,米欧企業の覇権争いに右往左往しているところが少なくないのは,残念である。

 その背景には,国家と世界的な組織が管理する公共のインフラストラクチャーだったワイヤレス通信が,後述するように“コンシューマ通信”というような存在に変化したことを,日本の企業がとらえきれなかったことがある。

 ワイヤレス通信の世界では,現在もさまざまな規格がぶつかり合っている。欧米企業を中心とするつばぜり合いは今後ますます激しくなり,新しい提案も次々と出てくるだろう。また,RFID(radio frequency identification)や可視光通信,ミリ波通信のように,新しい市場が今後伸びていく。今こそ,「ワイヤレス通信の本質は何か」を技術者一人ひとりがあらためて認識しておく必要がある。既存のワイヤレス通信の延長線上だけでとらえない,新しい柔軟な発想が求められている。

 そのためにまず知らねばならないのは歴史である。歴史は単なる過去の集積ではない。ワイヤレス通信技術とは何なのかを見つめ,何を目指しているのかを反省する良い材料になる。歴史の中に現在を見て,将来を占うのである。

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