100年の歴史の中で,ワイヤレス通信技術は次々と新しい市場をつくり,市場は技術を育ててきた。先駆者たちは,どのようにワイヤレス通信を普及させてきたのか。日本の企業が,世界市場で主導権を握れなくなったのはなぜか。ワイヤレス通信の本質を,歴史から浮き彫りにする。
連載
ワイヤレス通信100年の歴史
目次
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公共インフラからコンシューマ通信へ(3)
パソコンが世界的に普及した1990年代中盤から無線LANの需要が盛り上がってきたが,相変わらずISMバンドの無線LAN装置の価格は高かった。その理由は,ISMバンドではかなり自由にパラメータを設定でき,それがあだになって装置の仕様がメーカーごとにばらばらになり,相互接続ができない状況にあったからで…
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公共インフラからコンシューマ通信へ(2)
1906年に米国の技術者Lee de Forest氏が,信号増幅の可能な3極真空管を発明する。これで火花放電のような周波数の定まらない発振方法から脱し,所望の周波数において狭帯域で伝送ができるようになり,火花放電では困難な高周波の発振も可能になった。さらに,発振に必要な電圧が数百Vになり,火花放電…
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公共インフラからコンシューマ通信へ(1)
ワイヤレス通信技術は,過去100年の間に大きく発展した。先駆者は,ワイヤレス通信技術を磨き,着実に市場を立ち上げてきた。とりわけ1990年代からはワイヤレス通信の意義や在り方が大きく方向転換した。今日も発展を続けており,ワイヤレス技術は今後も新たな展開を見せていくだろう。