③スケジュール管理

 次に業務分解表をもとに、スケジュールを作成します。スケジュールは、図1に示すようなガントチャートが便利です。ガントチャートは、自分で作成することもできますが、インターネットらダウンロードすることもできます。

 図1において、タスクAとBは同時に始めることができますが、タスクCは、Aが完成した後にしか始めることができません。ここでタスクAの完了がマイルストーンとなります。さらに前が終わらないと次に進めない工程をつなぎ合わせたプロジェクトの経路をクリティカル・パスと呼び、プロジェクト達成に最低必要な合計所要時間を示します。<b>図1</b>では、黒い太線でクリティカル・パスを表しています。プロジェクトにおいて、プロジェクト所要時間を短縮したい場合は、このクリティカル・パスにある業務を短くすることが必要です。もしプラニング段階でプロジェクト所用時間が長すぎる場合、マンパワーを増大したり、外部へ業務を委託したりするなどしてクリティカル・パスにある所要時間を短縮する必要があります。

図1 ガントチャートによるスケジュール
図1 ガントチャートによるスケジュール

 プロジェクトリーダーは、急な変更などがあった場合、クリティカル・パスにどのような影響がでるかを検討しなければなりません。プロジェクトリーダーは常にクリティカル・パスにある工程に注目し、プロジェクトがプランに沿って進行するよう配慮しなければなりません。

 業務分解表をもとにガントチャートを作成するにあたり、どのような注意が必要でしょうか。今、仮に遂行に45日かかるタスクに対して、ガントチャート上では、どのくらいの日数となるのか考えましょう。

 1カ月を30日として1.5か月(45÷30)とすべきでしょうか。または土日を考慮し月平均の実働日を21日とし、2.1か月(45÷21)とすべきでしょうか。まず年間の実働日数を考えてみましょう。

  年間日数    365
   —土日休日   104
   —国民の休日  18
   —有給休暇   10

 とすると、年間日数から休日、休暇を差し引いた年間実働日数は、233(日)になります(年末年始休日を含めた国民の休日や有給休暇は各自の状況に応じて設定してください)。月平均実働日は、

 233÷12=19.4日
 プロジェクトタスク45日は、
 45÷19.4=2.3(月数)

 です。しかし現実的には、開発担当者は1日8時間開発に没頭することはなく、仮に1日のうち80%をプロジェクトに費やすとすると、

 2.3÷0.8=2.9(月数)

 となり、ガントチャート上では、45日のプロジェクトタスクには、2.9か月かかると予定するのが適当です。つまり、プロジェクトタスクに費やされる現実的な1カ月の労働日数は、

 (233÷12)×0.8=15.5(日)

 となります。

 さらに時間設定においては、以下のような点にも注意する必要があります。

 —担当者が過大、または過少に所要時間を予想していないか。
 —会社行事、組織変更、社屋改造工事など業務に影響するリスクはないか。
 —病欠、実験機器故障など予期せぬ非労働日を想定しているか。

 スケジュール作成にあたりリスクを想定し、より現実的な所要時間を設定してください。