この段階では、まだ十分な評価資料がないため、あくまでもトライするに値するかどうかの判断です。この検討段階では開発要求の背景を把握することです。例えば、競合品が、現在販売している当社製品を、脅かしつつある場合、なにもしない場合のリスクも検討しなければなりません。  

 プロジェクトの背景を総合的に評価する方法の一つに、スワット分析(SWOT Analysis)があります。スワット(SWOT)とは、

—ストレングスStrength(長所、強み)
—ウィークネスWeakness(弱点、弱み)
—オポチュニティOpportunities(チャンス、好機、成功の可能性)
—スレットThreats(脅威、リスク)

 のことで、これらを4個のマスに区切った表の中に明記し、プロジェクトの背景となる状況を客観的に把握しようとするものです。強み、弱点としては、会社の財務力、技術力、市場占有率、競合会社との比較などを箇条書きにします。チャンスとは、市場環境を判断の上、プロジェクトを開始して成功するための可能性、機会(会社にとって有利な状況)、背景などを示すものです。脅威とは、競合する新技術の台頭や、市場環境の変化など、このプロジェクトの成功を脅かすリスク、失敗する要因などのことです。ここで、会社の強みを、最大限に発揮して、市場のチャンスと結び付ける可能性 、弱みとリスクが拡大する危険性、成果の会社業績への長期的インパクトなどが議論されます。スワット分析により、開発要求の背景となる全体像が明確になり、経営的かつ戦略的な判断に有効です。

 ここで、開発評価委員会により承認されたニーズ開発提案は、開発のより詳細な背景、内容を網羅したプロジェクト提案により、プロジェクトとしての採用可否の審査へと移ります。プロジェクト提案は、ニーズ提案から一歩進んで、プロジェクトの妥当性、目標、期間など、より詳細なプロジェクト内容が記載されます。プロジェクト提案では、分かる範囲で製品の収益性、開発の難易度、必要な資源(人件費、材料費など)、市場の動向などを明記します。