構造

 図3は、プッシュ操作式サムロータリスイッチの基本的な部品構成です。(1)ケース、(2)押ボタン、(3)摺動(しゅうどう)子、(4)ロータ、(5)シール板、(6)パッキン、(7)プリント基板、(8)取り付け板、という8つの部品で構成されています。以下、それぞれについて説明します。

図3●サムロータリスイッチの基本構造

(1)ケース
 樹脂射出成形によって造られる部品です。各構成部品を収納します。両側面には、別のスイッチとワンタッチで簡単に連結するための機構が形成されています。

(2)押ボタン
 数値を設定するときに押します。正転(+)と逆転(-)のボタンがあり、それぞれはクリック感を生む機構と1回押すたびにロータが1段ずつスムーズに回転する機構を備えています。

(3)摺動子
 後述の(4)ロータに固定され、その回転に伴って先端がプリント基板上を摺動します。基板上に形成された導体パターンに接触することでスイッチ回路をオン/オフするという可動接点の役割を担います。基板と接触する先端部分には金合金を採用し、接触信頼性を高めています。

(4)ロータ
 円板状の部品で、円周面に設定する数値が書かれています。これを回転することで数値を設定します。

(5)シール板
 透明樹脂の射出成形によって造られる部品で、異物の進入を防ぎます。表示窓のカバーも兼ねます。

(6)パッキン
 弾性のあるゴム製の部品です。プリント基板とシール板に挟まれて、摺動子とプリント基板が接触する部分に異物が進入するのを防ぎます。

(7)プリント基板
 導体パターンに耐食性の高い金めっきを施し、摺動子との間で高い接触信頼性を維持します。回転角度に対応した導体パターンを形成することで数値コードの変換を行います。

(8)取り付け板
 射出成形樹脂製の部品です。スイッチの両側面に取り付けられ、パネルに開けられた穴にワンタッチで取り付ける機構が形成されています。

主な使用例

■産業用制御装置やNC工作機械の各種数値設定
 産業機械装置や生産設備において運転制御に必要な時間や温度、サイクル数などの条件値を設定するのに使用します。NC工作機械では、加工時における寸法の上下限値といった設定値を入力します。

■計測器の設定入力
 各種計測器において周波数、時間、温度など測定条件/範囲の設定に使用します。