構造

 押ボタンスイッチの代表的な基本構造を図4に示しました。(1)操作部、(2)取り付け部、(3)スイッチ部、(4)ケース部、という4つの構成要素から成り立っています。以下、それぞれについて順に説明していきます。

図4●押ボタンスイッチの基本構造

(1)操作部
 人が操作する力や動きを後述する(3)のスイッチ部に伝える最上面の部分です。押しているときだけオン状態になるモーメンタリ動作のタイプ(自己復帰形)と、押した後に力や動きを解除しても内蔵するロック機構によってオン状態が保持され、もう一度押すとオフ状態に戻るオルタネート動作のタイプ(自己保持形)があります(図5)。

図5●モーメンタリ動作のタイプ(上)とオルタネート動作のタイプ(下)

(2)取り付け部
 ナットを使ってスイッチを取り付けパネルの穴に固定するねじ固定方式と、板ばね使った機構でパネルの穴に挿入するだけで固定するスナップイン方式があります(図6)。前者は丸胴形、後者は角胴形に用いられています。

図6●ねじ固定方式(左)とスナップイン方式(右)

(3)スイッチ部
 ここでは操作部が受けた力や動きを内部にある押ボタンに伝えて可動片を動かし、電気回路を開閉します(図7)。接触仕様は1a/1b/1c/1a1b接点、極数は主に1極と2極があり、それぞれのスイッチ機構を構成しています。

図7●スイッチ部の構造

(4)ケース部
 内部のスイッチ機構を保護する役割を担います。通常は樹脂射出成形で造られていて、外部と電気的に接続するために底面からはんだ付け端子が突出しています。配線の効率を高めるためにスイッチ部とケース部を分離できるタイプもあります。発光源は照光タイプのLEDおよび白熱ランプがあり、それぞれ交換可能な構造にしてあります。

主な使用例

■大規模な生産ラインやプラントにおける運転、条件設定の入力、動作状態の確認
 自動車などの大規模な組立・加工ラインや化学プラントにおいて、制御パネルに取り付けられた押ボタンスイッチで運転や停止の指令、各種条件の設定を入力します。スイッチの表示機能や表示灯で動作状態を確認します。

■産業用機械装置・生産設備における運転操作入力
 工作機械、半導体製造装置、立体駐車場などの操作盤に取り付けられ、機械装置や生産設備の全体およびユニット単位の運転や停止を入力します。