続いて無線MANと無線WANについて解説します。まず,図1に伝送速度とカバー・エリアによる分類を,表1に要素技術や特徴を示します。

図1 無線MAN/無線WAN規格の最大通信距離と最大伝送速度
伝送速度は現時点での典型的な値を表しており,規格によっては今後拡張される可能性があります。
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表1 無線MAN/無線WANの概要と特徴
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図2 ハンドオーバー
セルAとの接続を切ってからセルBにつなぐハード・ハンドオーバーと,一度セルBとつないでからセルAとの接続を切るソフト・ハンドオーバーがあります。
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 無線MANと無線WANは,もともと端末と基地局の間の通信距離が長いもので数kmあり,さらに多くの基地局を設置することで広いカバー・エリアをサポートしています。そして両者共に100km/時以上の高速移動にも対応しており,異なる基地局間をシームレスに移行するハンドオーバーをサポートしています(図2注1)

注1) ただし無線MANに分類される固定型WiMAX(IEEE802.16-2004) のように,広いカバー・エリアで移動を伴わない固定局との通信を想定した規格もあります。

 無線MANのサポートするエリアは,基本的には無線WANもサポートしています。また,無線MANはVoIP(voice over internet protocol)を導入することで音声通話をサポートでき,一方無線WANの代表であるセルラー・システムには,図1に示されるように無線MANと同程度の高速データ通信をサポートするものがあります。