アナログ エレクトロニクスを支える基盤技術
 

第1回:ワイヤレス通信とRF回路の歴史からCMOS RF回路への道を見る

束原 恒夫=会津大学
2010/08/09 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2007年12月31日号 、pp.188-194 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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CMOSの回路設計技術やプロセス技術の進展に伴い,CMOSを無線回路など高周波分野に適用しようという動きが顕著になっている。一般に,「CMOS RF」,または「RF CMOS」と呼ばれる。今回の連載では,「CMOS RF回路設計」の基礎について会津大学の束原氏が解説する。(蓬田 宏樹=日経エレクトロニクス)

 移動体通信など,無線システムの進化が続いている。高周波のRF分野へのCMOS技術の適用も進む一方だ。RF分野におけるCMOS技術の重要性は,小型化とコスト低減にある。CMOS技術による回路の集積化によって,部品点数を削減できるためだ。CMOS技術を利用すれば,RF回路とデジタル回路との混載による「RF System On a Chip」も実現できる。その重要性は,今後さらに高まって行くだろう。

 今回の基礎講座では,CMOS技術をRF回路に適用する際に設計面で知っておくべきことについてまとめていく。機器設計者や半導体回路設計者も,今後の機器や半導体の開発を進めるにおいてCMOS RF技術の動向を把握しておく必要がある。

 連載の第1回となる今回は,CMOS RFにまつわる技術の歴史的事項をまとめた。次回からは,「周波数変換と変復調」,「イメージ抑圧ミキサとサンプリング・ミキサの基礎」「RFトランシーバのアーキテクチャ」「RF要素回路技術」「1チップICとして実現した例」などを紹介しながら,CMOS RF回路の設計技術を解説していく。

2GHzから3G~4GHzへ,さらにミリ波も

図1 無線通信システムの動向 
無線システムの近年の動向を示す。第1世代の携帯電話は,アナログFM(周波数変調)方式であった。それが第2世代以降はデジタル変調方式に切り替わっている。Bluetoothなどの近距離無線は現在非常に活況で,10GHzまでの帯域を使うUWB方式も登場している。さらに,CMOS技術の微細化により,CMOS RF回路の適用範囲もミリ波領域に達している。
[画像のクリックで拡大表示]

 CMOS RFの動向を知る上で,その主たる応用例である無線通信の状況をまず紹介する。無線通信としては,携帯電話などの移動体通信と,Bluetoothなどの近距離無線の発展が著しい。

 移動体通信に関しては,データ伝送速度の高速化に伴って利用する周波数帯の高周波化が進んでいる(図1)。2000年以降に登場した第3世代移動体通信システム「IMT-2000」や,今後登場する第4世代移動体通信システムでは,より高速のデータ伝送速度が求められる。第3世代移動体通信までは 2GHz帯近辺であったが,第4世代以降は,さらに高い周波数帯となる3G~4GHzの利用が期待されている。

 一方,近距離無線通信は,2000年以降に携帯機器用途などを中心に登場した。デジタル家電機器への搭載を想定しているため,当初から厳しいコスト競争が起こり,そのための低コスト化手段としてCMOS RF技術の適用が一気に進んだ。RF回路をCMOS技術でチップ上に集積することで,個別部品の点数を削減できるためである。

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