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第4回:ねじりを知れば軽量化できる

沢 俊行=広島大学
2010/04/12 00:00
出典:日経ものづくり、2005年5月号 、pp.138-142 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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今回のポイント
●後を絶たない,ねじりが原因のシャフトの破損
●ねじり荷重を受けた軸の横断面の応力分布は一様にあらず
●軸の太さが変化する部分では,応力集中に注意が必要

 材料力学で案外盲点となっているのが「ねじり」。引っ張り,圧縮,曲げは勉強したけど,ねじりはちょっと…,という方が意外に多いのです。その一方で現実の世界では,ねじりの問題がそこここにある。典型が,モータを使うような動力系。トルクを伝える軸は,このねじりの問題から逃れることはできません。

 しかも,ねじりに起因する事故は結構頻繁に起きている。このことは,重要な事実。例えば,海の上ではかつて,こんな事故がありました。

 両舷りょうげんの船胴にディーゼル機関を1基ずつ装備していた双胴型軽合金製旅客船が,寄港先で着岸操船をしていたとき,乗組員はいつもより大きな振動を感じた。すると見る見る,右舷のディーゼル機関の排気管から白煙が激しく噴き出してきたといいます。

 その後,原因を調べてみると,燃料ポンプのポンプ側ギアカップリング部で,駆動軸と内筒のテーパ部に著しい肌荒れが生じていた。さらに駆動軸のキーの部分では,半月キーがせん断力で折損し,駆動軸側のキー溝には亀裂が発生していたのです。

 このケースのように,駆動軸のキーに絡んだ事故は多い。後に詳しく触れますが,キーの設計は非常に重要なポイントです。

 さらに,ある造船所で,試験運転中の発電機のタービンロータが破裂し,多くの死傷者を出したことがあります。タービンロータは高速で回転しているため,その破壊の威力はすさまじく,破片は1500m先まで飛んだと聞いています。そして,その破面には,疲労破壊を示すシェルマークが。人身事故の原因は,回転振動による疲労だったんですね。

 今回のテーマはねじり。見落とされがちな問題だけに,正面突破を図ります。ねじりによる疲労や振動はいずれ取り上げるとしまして,まずは基本の復習から。

こんなに違う中実丸棒と中空丸棒

 ねじり荷重と,引っ張り荷重や圧縮荷重との大きな違いは,横断面内の応力分布にある。引っ張り荷重や圧縮荷重の場合は厳密には異なるものの一様と仮定できましたが,ねじり荷重の場合にはそうはいきません(『再入門・材料力学(基礎編)』参照)。

図1 ねじり荷重による延性材料の破断
ねじってもすぐには壊れず,何回転かする。これは,横断面内の応力分布が一様でなく,外周から降伏している証拠。

 このことは,延性材料を壊してみると実感できます。一度ねじっただけでは壊れない。クルクルと何度かねじって初めて,軸に対して約90°の面から破断します(図1)。こうした破壊形態は,ある断面において降伏が外周から始まっている証拠。そして,降伏はやがて断面全体に広がり(完全降伏し),破断に至るのです。

 ねじり荷重を受けた際に,横断面内で応力が一様でないことは式(1)に表せます。

  τ=Grθ(1)

 τはせん断応力,Gは横弾性係数*1,rは軸の半径,θは比ねじれ角(単位長さ当たりのねじれ角)。すなわち,せん断応力τは軸の半径rに比例していることが分かる(図2)。さらに,トルクTを見ておきましょう。

T=GθIp(2)

*1 材料を鋼材とすれば,右のように計算できる。なお,鋼材の縦弾性係数Eは207GPa,ポアソン比νは0.3とする。
G=E/2(1+ν)
=207/2(1+0.3)
=80GPa

図2 ねじりトルクTを受けている直径dの中実丸棒の横断面の応力分布
せん断応力は横断面では一様でなく,単位長さ当たりのねじれ角θと半径rに比例する。

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